第173話

送られてきた文字を見てなんとも言えない気持ちになってしまった。今すぐに声が聞きたくなり電話をかけた。




「大丈夫か?」



「全然大丈夫じゃない……」



「いまどこよ。」



「教えない。美羽とデートしてるんでしょ?そっち集中してよ。」



「もうデート終わった。なんて言われたの?」



「私のことは好きだけど、つきあえないって言われた。意味わかんないよね。」



「意味わからん、なんでよ。」



「近いうち東京に引っ越すらしいよ。俺のことは記憶から消してって言われた。もうこれ、音信不通確定でしょ。」



「遠距離恋愛とか無理なの?東京なんか近いよ。」



「そういうのは不安になるから嫌なんだって。なんか、自分に自信ないみたい。」



「あれで自信なかったら俺なんかどうなんのよ。」



「恋愛自体が苦痛らしいよ。過去に浮気された経験あるから怖いんだって。トラウマらしい。そこまで言われたら諦めるしかないでしょ。店も閉店するみたい。」



「……………」



「先輩が何考えてるのかわかんない。私の誕生日に、私が見たいっていってた夜景連れていってくれて……その時に手も繋いでくれて……。驚くほど高級で綺麗なピアスもくれて。それだけじゃないよ……?寝る前の電話とか毎日くれてたんだよ。蕎麦屋の従業員は私と先輩がつきあってるって全員が思ってた。それぐらい、先輩は私だけに優しかった……。そんなのさ……私のことが好きなのかもって期待するやん……」



「うん。」



「でも……私から告白できなかった。振られて友達の関係を壊すのが怖かったから。だから先輩から告白されるのずっと待ってた。でも全然されなくて……。このままの関係も辛くて……」



「うん。」



「だから……怖かったけど勇気だして私から告白した。それがこの結果。つきあえないなら、あんな思わせ振りな態度しないでほしかった。今までの時間はなんだったのって感じ……」

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