第172話
俺は、一体なにがしたいんだ。勢いで店を出てきてしまったが、あの男を追いかけてどうするつもりだったんだろう。
途中までは雨夜のあとをつけていたのだが急に馬鹿馬鹿しくなってきたから追うのをやめてすぐ側にあったバス停のベンチに腰を下ろした。
そこから長いあいだ夜空に浮かぶ朧気な月を見上げていた。
あいつはもう告白したのだろうか。つき合ってほしくはないけど、泣き顔は見たくない。そんな複雑な気持ちになっていた。
会わなければ忘れられると思っていた。でも無理そうだ。あいつを忘れることなんか俺にはできそうにない。
だから俺は自分の気持ちを封印しておばちゃんの幸せだけを願うことにした。なんとなく雨夜だったら幸せにしてくれそうな気がした。
雨夜だったら――――――――…
これ以上、美羽を待たせるわけにはいかない。蕎麦屋に戻ろうとベンチから立ち上がった瞬間、LINEが入ってきた。確認するとおばちゃんからだった。
【蓮の予想通り(つω`*)残酷に振られた。音信不通にもなりそう笑】
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