第174話

絶対に自分を好きだと思っていた人に拒絶される。今のこいつは、昔の俺だ。このままだと駄目になる。



俺の場合は勝手に思いこんで自爆しただけだが雨夜のしたことは残酷すぎて悪意すら感じる。そんな手の込んだことしてくれたら誰でも期待するに決まってる。



「泣くなって。そんなクズ男、振られてよかったやん。将来極悪人になるのは目に見えてるわ。今すぐ忘れろ。」



「そんな簡単に忘れられるわけない。まだ好きでしょうがない。嫌いになれないから苦しいんだよ……。なんか理由があるのかも。重い病気とか……」



「どうせ、しょうもない理由だよ。おばちゃんのことが本気で好きなら、好きだけどつきあえないなんか言わない。わざと忘れられなくしてるんだと思う。嫌いって言われた方がマシだわ。とにかく、あいつは悪人。忘れろ忘れろ。」



「死にたいよ……もう……」



「あああ!!もうっ!!鬱陶しいな!!死にたいとか簡単に言うな!!」



「蓮には私の気持ちなんか一生わかんないよ……。本気で人を好きになったことのない蓮には……」



ずいぶんと面白い言葉を言ってくれる。俺の気持ちを知らないんだから言われてもしょうがないけど。



「へいへい、そうですね。でも、お前にだけは言われたくねえわ、ブス。」



「蓮……」



「どうした?」



「苦しいよ……」

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