第5話 極東の島国 『Blood In, Blood Out 〜幕末エクソダス〜』




 日本という国をご存じですか。ジャパン、ジパング、日出ずる国、倭の国、ハポン、ヤーパン、呼び名は数々あれど、特徴的なのが、サムライという剣士がいる国です。

 その国は、四方を海に囲まれた島国で、しかもある時期、海の外の諸外国との接触を一切禁止する、鎖国という制度が敷かれていました。

 ええ、文字通り、入り口に鎖を繋ぎ、海外からの流入を一切拒むという国の政策でした。

 もちろん例外もあり、わずか数カ国に、限られた土地だけを開放して、「そこだけ外国と同じ領土」という理屈にして海外貿易を行っていたりしたようですが、いずれにしても、それが三〇〇年ほど続いてのち、力ずくで鎖を解く国が現れました。

 しかも、一国ではなく、何カ国も。

 大きな海を渡ってきた、黒くて巨大な蒸気船を見て、現地の人たちは腰を抜かしたそうです。それはそうです。文明の進みが、三〇〇年分遅れているのですから。

 一気に国土を占領されると思ったのも仕方ないでしょう。

 が、そこはサムライの国。

 海外からの客人を斬り捨てる! と決起した地方の有力者たちがいたようです。

 しかし逆に、諸外国の技術を受け入れ、力を付けるべきという勢力もありました。

 かくして、三〇〇年続いた太平の世の末期、国を開こうとする勢力と、国の政治を守ろうとする勢力の、サムライ同士の内戦が始まったのです。


 次の舞台は、幕末と呼ばれる時代の日本。

 時代劇、という世界観です。


 幕末の日本の中心地、京の都。

 その中心から外れたところに、小さな茶店がありました。

 主に、京都以外からやってきた人たちを相手に商いをしているところで、一階は茶店、二階は宿屋としても営業しておりました。

 その茶店に、一人の新撰組隊士が、段だら模様の羽織を着て、やって参りました。

 名前を、秋葉野原、と申しました。

「ごめんよ」

 その声に応じて、店の奥から一人の女性が出てきました。

 茶店の看板娘です。

「秋葉様! こんにちは!」

「今日も元気だね。みたらし団子とお茶もらえる?」

「はーい」

 名前は、しなの。京都の人間ではないのですが、住み込みで働いておりました。

 しなのが、店の奥にさがると、秋葉が、辺りを見渡し、懐から紙を取り出し、茶店の縁台の下に、こっそり隠しました。

 それからしばらく待っていると、しなのが、お盆に団子と茶を載せて戻ってきました。

「おまちどおさま。今日もお疲れですね」

「ありがとう。先日、また辻斬りが出てね。見廻りを強化するよう局長命令が出て、朝から歩きっぱなしなんだ」

 お茶をずず、と飲みながら、秋葉が心底疲れたように話します。

「斬られたのは、また外国の方ですか?」

 物騒な話題にも、驚いたりしないのは、この時代の日本、特に京都は、刀による人斬りが日常茶飯事だったからです。

「いや。維新志士だった」

「そう……」

 心なしか、しなのは淋しそうにしていました。

「うん、お茶美味しい。しなの殿は、優しいね」

 言われて、しなのは驚きました。

「えっ?」

「自分とは縁もゆかりもない不逞浪士が殺されて、そんなに淋しそうな顔をするんだから。私は、いつからかそんな感情も忘れていたっぽいです」

「そのようにおっしゃる秋葉様の方が、よほどお優しいです」

 お互い、にっこりと微笑み合います。

「そうかな。でも、そんなしなの殿がいるからこそ、ひとときの憩いとして、この茶店にも寄らせていただいているのです」

「どういう意味ですか?」

 しなのが、きょとんとして応えます。

 慌てたのは、秋葉の方でした。

「いや、失敬。なんでもござらん」

「気になります。おっしゃってください。おっしゃらないと……」

「……どうなるの?」

「今度から、みたらし団子に、わさびを塗ってまいります」

 まるで鬼の首を取ったように言い放ちましたが、

「それは……案外美味しいかも」

 と、秋葉は真面目に返答しました。

「まあ。でも、私も、秋葉様とお話ししているときが一番楽しいです」

 そう言われて、秋葉は、ボリボリと総髪にしている頭をかきむしりました。

「そう言っていただけると、仲間の目を盗んで会いに来ている甲斐があるというものです。なんといっても、しなの殿は、私たち隊士にとって、なんというか、その、癒やしのような存在ですから」

 言っている本人が照れているのですから、世話がありません。

 でも、真心は伝わったようでした。

「嬉しいです」

「……いえ」

 秋葉は、相変わらず照れていました。

 しばしの沈黙。

 それを破ったのは、しなのでした。

「あの、……そういえば、秋葉様の隊に、新しい方が入られたのでしょう?」

「はて。私はまだ、聞いておりませんが。誰か、私よりも先にここに来て休憩した輩がいるのですね」

「いいえ、違います」

「というと?」

 しなのは、一つ意を決したように、話し始めました。

「かくいうご本人が、昨日こちらに見えて、団子をお召し上がりになっている間、おっしゃっていたのです。『明日から俺は、憧れの新撰組に入隊するのだ』、と」

  秋葉は得心がいきました。

「なるほど、そういうことですか。しかし、入隊前から自身のことを吹聴して回るとは、これは厳しくせねばなりませんな」

 しなのが、笑顔で弁解します。

「なんでも、伊豆の方からはるばる京までやってきたそうです。どうぞ、優しくして差し上げてくださいな」

「いや、これはしなの殿のお願いでも、そういうわけにはまいりません。隊の規律の問題でもありますので」

 鼻息も荒く、秋葉は真面目に話します。

「秋葉様は、職務熱心ですね」

 そう言われて、また照れながら、

「ですが、少しは気にかけておきましょう。名前は分かりますか」

「はい、あの」

「何か?」

「いいえ、なんでも。お名前ですよね。代々木様と申します」

「代々木某でしょう」

 しなのは、一瞬、小さく息を吸って、それから申しました。

「代々木恋一郎様、でございます」

 このとき、秋葉は気づいたのです。

 名前をいうだけで、その男を思い出すだけで、顔を赤らめるとは。

 しなのは、恋をしている。昨日会ったばかりの新入隊士に、代々木恋一郎とやらに、恋をしている、と。

「もしあの方から、文などいただけたら、私は果報者でございます」

 何故それが分かるのか。

 秋葉もまた、しなのに恋をしていたからなのです。

 決して報われぬ恋を。


 京の都の南西のあたりに、新撰組の屯所はありました。

 茶店から戻った秋葉様は、新入隊士と面会することになりました。

 男の名前は、代々木恋一郎。まさしく、彼に違いありません。

 女性ならば、誰もが見惚れるほどの美丈夫。甘いマスクに、低音ボイス。落ち着いた物腰。要するにイケメンだって事です。

 誰もが、彼を一目見ると、まるで恋に落ちたかのような錯覚を覚えることでしょう。

 それは、秋葉様も同じく、言葉を失ったことからも、分かります。

 私ですか? いいえ、私は特に。

「……君が、代々木くん?」

 秋葉は、念のために確認いたしました。

「代々木恋一郎と申します。よろしくお願いいたします」

 深々と、頭を下げて、しっかりとした礼をしました。

「百番組の秋葉野原です。よろしく。聞けば、伊豆から来たとか」

「はい。家は温泉宿を営んでおります」

 新撰組は、武士剣客の集団ではありますが、実際には、由緒正しい武家の出の者は少なく、武士になりたいと憧れる者や、新撰組そのものに憧れて入隊してくる者も多くいたそうです。

「へえ。それが、また何で武士に?」

 恋一郎は、一つ咳をして居住まいを正して、話しました。

「温泉には、様々な方がいらっしゃいます。このご時世、刀傷を持つ人も少なくありません。そういった方々が療養に来ては、語ってくださる武勇伝に、私も加わりたいという想い、ひいては、この日の本の天下泰平のために役立てたく思いました」

 何度も練習したかのような、よどみのない、しっかりとした話し方でした。

「一〇〇点満点の答えだ! 殊勝な心がけだね。剣の腕は?」

「同じく、療養にいらした方々から手ほどきを」

 入隊に関して、特に実技試験もないため、剣術の腕もそこまで大きく関係していなかったようです。

「なるほど。わかりました。君は、私と同じ百番組に配属になるらしい。よろしく」

 秋葉は、とっとと話を切り上げようとしました。

 恋一郎の顔を見ていると、どうしても、しなのの顔が思い浮かんでくるのです。

 呆気にとられたのは、恋一郎の方でした。

「あの、よろしいんですか?」

「何が?」

「いえ、剣の腕を証明した方がよいかと」

「なぜ?」

 全く要領を得ないので、恋一郎は、改めてきちんと話し始めました。

「失礼ながら、秋葉様は、私が多少見た目がいいことを気にされているかと」

「それは、荒くれ者ばかりの新撰組で、嫌味になるから言うのをやめた方がいいよ」

 何を言い出すのかと思えば、イケメン自慢で、聞くに値しないと秋葉は判断しました。

 しかし、案外食い下がってきたのです。

「そうか。あなたも、私が見た目が弱そうに見えるから、馬鹿にしていらっしゃるんですね?」

「誰かに馬鹿にされたの?」

 そうであれば、まあ、話くらいは聞くべきかと。

「噂は小声でも耳に入るものです。剣の腕はからきしな、ただの優男だと。私は、剣術を磨いてここに来ました。だから、その力を示したいのです」

 そう息巻いてしゃべる恋一郎は、今にも刀を抜きたくて仕方がないようでした。

 ああ、こいつは人を斬ったことがないんだな、ということが丸わかりでした。

「何を焦っているんです?」

「焦ってなどいません」

 図星です。

「そのうち、不逞浪士が暴れたりしたところに偶然居合わせたら、そういう機会もあるよ」

「待てません」

「あのねえ」

 どうやっても、引き下がりません。

「見た目で舐められるわけにはまいりません。剣の腕を証明したいのです」

「どうやって?」

 秋葉もいい加減、根負けしてきました。

「一本、手ほどきしていただけませんか?」

「断る」

 ところが、恋一郎は、屯所の道場の壁に掛かっていた木剣を取り出し、秋葉に襲いかかりました。秋葉が、間一髪で避けました。

「何するの!?」

「お願いします!」

 そう言うと、恋一郎は、木剣をもう一本取って、秋葉に投げ付けました。

 恋一郎が、秋葉に襲いかかります。秋葉が木剣を拾って、避けました。

 もう一度、恋一郎が裂帛の気合いと共に踏み込んできます。

 ところが、秋葉が、それをいとも簡単に避けて、恋一郎の顔面に木剣を突きつけました。

 勝負あり、です。

「……まいりました」

 恋一郎が、がっくりと膝をつきました、

「ひー。ひやひやした」

「秋葉様は、お強いですね」

「様じゃなくていいよ。それに、ただのまぐれだし」

「私が負けたのをまぐれといわれると、立つ瀬がありません」

「いや、私は逃げるのがうまいだけだから。攻撃しろと言われたら、何にも出来ない。だから、剣の腕じゃなくて、諜報活動なんかを専門にする百番隊なんだよ」

「でも、私も百番隊ですよね」

「そうだね」

「じゃあ、いつまでも手柄はあげられないって事ですか」

 恋一郎が、ものすごく意気消沈してしまいました。

「手柄なんて、別に無理してあげなくてもいんだよ。生き延びることの方が先決」

「そうなんですか」

 完全に、先程までの希望に満ちた若者の姿はなくなり、まるで一気に年齢をとったりでもしたかのようになってしまいました。

「そんなに落ち込まなくても。剣術の腕は、確かに悪くないと思うよ。ただ、斬りかかるときに、手足が微妙に震えてる。実戦経験がないからだと思うけど、できれば人を斬ることなんて、ない方がいい」

「秋葉さんは、変わった人ですね。面白い人だ」

 と、代々木恋一郎は、にっこり笑いかけました。

「で、理由は?」

 なぜそんなにも手柄にこだわるのか、その理由を問い質しました。

 もじもじしながら、なかなか話してくれませんでしたが、上司の命令だとすごんで、ようやく聞き出しました。

「茶店をご存じですか? 実は、そこに娘さんが居りまして」

「知ってる。うちの隊士はけっこう寄らせてもらってるはずだよ」

「そこの娘さんに、一目惚れをしてしまいまして」

「えっ」

 秋葉は、あまりにもまっすぐなその言葉に、ドキンとしました。

「ですが、新撰組に入ったとは言え、まだ単なる温泉宿のせがれでしかない身。なんとか手柄を立てて、彼女をもらいたいなと思いまして……」

 聞いてみると、すごく真面目な人生設計でした。

「そこまで考えてるの!?」

 はあ、と、言いつつ、こくりと首肯して。

「ではあるのですが、なにぶん、女性とのお付き合いなどしたことがなく、どうにかしてあの娘さんと仲良くなるために、強い男だと言うことを証明できればと……」

 秋葉も秋葉で、馬鹿馬鹿しくなりました。

「だったら、手柄なんて必要ない。今すぐに茶店に行って、そのように伝えればよい」

 ところが、これに猛反発が起きました。

「それが出来れば誰も苦労はしないのです!」

 そもそも、女性と話すことが苦手だとのことで、女性を目の前にすると、まともにしゃべれないのだといいました。

 じゃあ昨日はどうしたのかと聞いたら、新撰組に入隊する、代々木恋一郎、伊豆の温泉宿の出身、ということを伝えるのに、一刻(約二時間)かかったのだそうです。

 さすがに呆れてしまいました。

「じゃあ、恋文の一つもしたためればいいじゃない」

「読み書きは得意じゃありません!」

 あれもこれもダメなのか!

「なんなのよ、もー!」

「秋葉さん?」

「ううーううー」

 秋葉が、頭を悩ませて、唸っています。

「どうしたんです?」

「あーもう! もうやだ!」

 秋葉が、唸っていると思ったら、叫びました。

「秋葉さん!」

「聞こえてるよ! わかってる!」

 怒られました。

「すみません」

 と、秋葉が、懐から、手紙をとりだして言いました。

「じゃあ、これを持って行きなさい」

 恋一郎は、その手紙を受け取って、

「これは?」

「手紙だ。男性から女性に対して贈るにふさわしい言葉が書いてある。これを贈りさえすれば、どんな女性も贈り主に恋心をいただくはず」

「えっ!? なんでそんなものが用意されているんですか?」

 ごもっともです。

「武士はいつ何時死ぬかも分からないから、想いを伝えたい相手に伝えられるように、いつでも懐に入れてるんです!」

 あまりにも苦しい言い訳です。

 ですが、秋葉にとって、大事な人に伝えたい想いがしたためてあると言うことは、言えなかったようです。

 とはいえ、恋愛に免疫のない恋一郎、名前が泣くぞ、恋一郎、すっかり秋葉の話を信じてしまいます。

「さすがです、秋葉さん! ということは、秋葉さんにも、伝えたい相手がいるんですね?」

「今はいない。もしいれば、の話し!」

「じゃあ、この手紙は、僕と茶店の娘さんに合いますか?」

「その点は大丈夫。ぴったりだ。誂えたように」

 この話の流れで、気づかない恋一郎は、相当やばいと思われます。

「この手紙、いただいてしまっても大丈夫なんですか?」

「間違いなく、相手に渡すんだよ」

「はい!」

 屈託ない笑顔で返答され、秋葉も、もういろいろと諦めざるを得ませんでした。

「あと、茶店の娘さんの名前は、しなの。しなのさんだ」

 礼を言って、恋一郎が、屯所を後にしました。


「やっかいな恋ですね」

 事の顛末をじっと見ていた、私は、秋葉様が一人になったところで話しかけました。

「三鷹さん! いや、今のは、その……」

「大丈夫です。お気になさらず。誰にも申しませんから」

「かたじけない」

 恭しく頭を下げていただけました。

「では、気を取り直して。こちら、長崎の出島から取り寄せました、カステラとお紅茶でございます。紅茶はミルクティーでお楽しみください」

 お盆の上に、黄金色のふわふわとしたカステラと、湯飲みに入れた紅茶を用意し、運んで参りました。

 タイミングを見て、温度を調節できるのは、私が一流の執事だからです。

 秋葉様は、パクリとカステラを口に放り込みました。

「美味しいいい! やっぱザラメは必要だね。だけど、珍しく既製品なんだね」

 もぐもぐしながら、ミルクティーで流し込みます。カステラとミルクは、相性抜群です。

「そう言われると思いまして、別の種類のカステラもご用意しております」

 と、もう一つ用意しておいたものを取り出しました。

 こちらは、私のお手製です。ぷるんぷるんしています。

「うわあ! 美味しそう。ふるふるでふわふわでぷるんぷるんしてるよ?」

「どうぞ、お試しください。私特製の、時空を超えたおいしさ、台湾カステラです」

 かなり大きな一口を思いっきり口に入れ、

「美味しいいいいいいいいいいいいいいいいいい!」

 秋葉様、いえ、お嬢様は、感激のあまり、屯所中に響き渡るような大きな声で、感想を叫びました。

 お嬢様は、その瞬間、ハッと気づきました。

 そして、キョロキョロと周りを見渡します。

 私の顔を見つめて、

「あなた、アルベルト?……これ、どういうこと?」

「お目覚めですか、シャルロッテお嬢様」

「あなた、三鷹さんじゃないの? 勘定方の?」

 新撰組の、戦わないサムライ、金計算を仕事とする、勘定方の三鷹が、この世界での私の姿でした。

「確認の前に目の前のおやつを全て食べ尽くすのは、間違いなくシャルロッテ嬢ですね」

「私、シャルロッテで、トルタ=アルで、でも、銃殺されて、今は……」

「またまた生まれ変わりまして、新しい世界でございます。今のお嬢様は、幕末日本の新撰組に属する、幻の百番隊の隊士、秋葉野原さまです」

「えっ! 私もしかして、男になったの!?」

 と、隊服の下、自分の身体を確かめました。

「お嬢様。はしたのうございます」

「いいじゃない。文句言わないで。でも、あれ?」

「どうやら、お嬢様は、女性の身でありながら、男装をして武士になり、新撰組に入り込んでいるキャラクターのようですね」

 その辺りの設定から、お嬢様は、この世界が何の世界か、気づいたようでした。

「思い出した……『Blood In, Blood Out 〜幕末エクソダス〜』だ。幕末日本の新撰組内で繰り広げられる、恋愛シミュレーションの乙女ゲーム。プレイヤーが、茶店の看板娘のしなの(名前変更可能)さんで、攻略対象は新撰組の全隊士。その中でも、攻略難易度が高く、ハッピーエンドになりにくいのが、代々木恋一郎だ」


 そして、お嬢様がこの世界を把握する間に、恋文を携えた代々木恋一郎は、茶店の娘しなのと、とっとと結ばれたのでした。

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