第9話 ニート、初めてのレアモンスター
重装備にもかかわらず、死人騎士の速度は死人剣士よりも断然早い。ガイアがすぐに攻撃を防ぎに入るが、死人騎士は大楯を構えて突っ込む。
ガイアはそのまま後ろに飛ばされた。間髪入れずにクロスが切り掛かるが剣で弾かれ、そのままぶっ飛ばされる。
「ウィンド」
死人騎士はエリスの攻撃魔法を盾で受け切る。
「そこだ!」
ジャンは鉄の斧を振り下ろすが横に躱される。ジャンが立て直すよりはやく斬撃が放たれる。
「がはっ…くそ」
胴体を斬られるが、鎧のおかげでダメージは軽減される。しかしその衝撃は大きく、ジャンは膝をつく。圧倒的な強さの前にパーティはなすすべもない。
ジャンの頭に死人騎士が剣を振り下ろそうとした刹那、鋼の槍が死人騎士を後ろから貫いた。
「危ないところだったね、君たち」
そこにいたのは全身鋼の装備に身を包んだ騎士と、その仲間であろう大剣を持つ怖そうな男性と神官らしき優しそうな女性。女性は祈りを捧げ、ジャンを回復させた。鋼装備の騎士の一撃で死人騎士は消滅し、ドロップしたのは朽ちた鉄の鎧というアイテムだった。
「このアイテムは私たちには必要ない。ところで君たちは初心者かな?」
クロス達4人はそうですと答えた。帰りながら騎士は話す。
「私の名前はアルガード=ドラコニス。奈落調査団の長を勤めている。新人育成や日々皆で訓練を行い、私の統率のもと団は効率よく奈落探索を進めている。君たちも深部を目指しているなら私の団に入らないか?」
「奈落調査団やアルガード殿のことは存じております。私は王国騎士新兵のガイアと申します。王国に認めてもらえるように王の求める不老不死の秘薬を求めて奈落に挑んでおります。是非とも奈落調査団に入れていただきたい」
ガイアは即答だった、続いてジャンも奇跡の花を見つけて妹を蘇らせるという目的を告げ、入団を希望した。エリスは本職の薬屋のために奈落には浅い層にしかこないため、入団を断った。その後アルガードはクロスに聞く。
「君はどうする?」
「俺は、入りません」
「は!?何でだよ!」
声をあげたのはジャンだ。
「奈落探索で食っていきたいんだろ!?千載一遇のチャンスだろ!俺は仕事をやめるぜ、クロスは仕事してねーんだから断る理由なんかないだろ!」
「いや、俺は自分の力でやってくよ」
怖そうな剣士が口を開く。
「お前みてぇなやつはいらねえよ、こっちから願い下げだ。人生舐めてんじゃねえ」
クロスは統率されるのが嫌だった。誰かに命令されて、誰かの監視下で働くのなら何のために奈落に来ているのかわからない。それにこんなうざい奴が上司とかなら尚更最悪だと思った。
「やめろグレン、考え方は人それぞれだ。クロス、私はいつでも歓迎するから気が向いたら教えてくれ」
アルガード達といたため安全に街に戻ることができた。エリスは魔力草以外のアイテムを3人に渡すと帰って行った。
「…俺は今後アルガード殿の下でより深い層に行く、今回のアイテムはお前らで分けるといい」
「それなら俺もいいや、クロスが持ってけよ。お前じゃ今後、三層より奥には行けねぇかも知れないしな」
(なんだ、コイツら。嫌な奴だったんだな)
クロスはアイテムを全て袋にいれて帰った。
「礼の一言も無しか、2度と組むことはあるまい」
「あんな奴ほっとこうぜ。それよりガイア、これからよろしくな」
こうして今回の探索は幕を閉じた。クロスとジャン達の間に溝を残して…
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