第10話 ニート、鍛冶屋に行く

クロスは朽ちた鉄の鎧を使えないかと考えるが、錆びて穴も空いている鎧は革の鎧より防御は期待できない。書紀に何か記されていないか調べる。

どうやら朽ちた装備は鉱石を使う事で鍛冶屋で直せる事があるらしい。クロスはさっそく、いままで手に入れた鉄鉱石2つと朽ちた鉄の鎧を持って鍛冶屋に向かった。


「コイツを直すにゃあと3つ鉄鉱石がいる。それから仕事代はもらうぞ。1,000G用意しろ」


店で鉄の鎧を買う場合、3,000Gかかる。朽ちた鉄の鎧は1つ250G、鉄鉱石は1つ100Gで売れるので鍛冶屋に払うお金と合わせても1,750G。料金で言えば断然お得だ。

クロスの現在の手持ちは200Gほどしかない。他のアイテムを売り払うが1番高いものが死人騎士の遺骨で100Gで、全て合わせても200Gにすら届かない。


「奈落で稼ぐしかねぇな…」


クロスは冒険者ギルドに行き、依頼一覧を見ていた。すると後ろから声をかけられる。


「クロスさん、奈落いくんだすか?」

「マリー!奈落いくよ、鉄鉱石を探しながら金稼ぎさ、マリーもいくなら一緒に行こうよ」

「もちろんだす、よろすく!」


他の待機者はいなかったため、手軽そうな依頼を受けて2人で奈落に向かう事にした。


…………

【死人剣士の遺骨を四つ納品】

 報酬 600G


クロス Level 3

武器…青銅の剣

盾……青銅の盾

頭……なし

胴……革の鎧

腕……青銅の籠手

脚……青銅の足鎧

装飾…免疫の指輪

パン×2

水ボトル×2


マリー Level 2

武器…鉛のメイス

盾……バックラー

頭……革のフード

胴……革のローブ

腕……革の手袋

脚……革のズボン

装飾…魔力の指輪

パン×3

水ボトル×3

傷薬×2

…………


「遺骨は1つ持ってるから、あと3個だ」

「はやくドロップするといいだすな」


クロスは奈落に向かいながら、マリーに聞く。


「マリーは何で奈落に行くの?」

「わたすの父は神父ですて、村に流行する病を治すために奮闘してます。わたすは父や村の皆んなの力になりたくて、どんな病気も治ると言われている百薬の水とやらを求めて奈落を探索してます。クロスさんは?」

「お…俺は、金のために…」

「そうですたか、お金は生きるために必要ですからね」


奈落に挑む人は皆かっこいい目標を持っている。金稼ぎなんて言うのは自分だけだとクロスは少し情けなく感じた。


【奈落 第一層】

前回のようには行かず、モンスター達は襲ってくる。しかしクロスとマリーは難なくモンスターを撃退していった。


「クロスさん、動きがよくなりますたね」

「マリーこそ、そのメイス強いね」


【奈落 第二層】

前回の時は4人だったからこそ楽々だった二層も、レベルの低い2人では危険地帯である。

死人剣士を5体ほど倒し、残り1つで依頼完了の所まで来た。疲労が溜まった2人は休憩してパンを食べて水を飲む。


「さて、もう一踏ん張りしますか」


死人剣士を討伐しながら、宝箱を見つけてアイテムを順調に増やしていった。そして最後の遺骨を手に入れて2人は奈落を後にする。


「クロスさんが一緒だと冒険が楽だす」

「こっちの台詞だよ、回復使えるのはマジで凄い」


お互いを褒めながら街に到着する。冒険者ギルドで報酬を受け取ると2人で山分けし、アイテムの分配をする。

今回手に入れたアイテムは

大ネズミの牙×2

大コウモリの牙×1

鉄鉱石×2


クロスは鉄鉱石を分け合おうとする。


「クロスさん、鉄鉱石いるんでしょ?2つとも持ってってください」

「いいのか?」

「はいだす(^^)」


クロスは残りのアイテムと100Gを渡す。


「これでフェアでいいかい?」

「こんなにいいんだすか?ありがとうございます」


 2人はまた一緒に冒険する約束を交わして解散した。待つべきものは心優しい仲間だと思うクロス。ともあれ朽ちた鉄の鎧を直すための鉄鉱石はあと一つとなった。しかしゴールドは全く足りず、普段の食事代などを考えると休んではいられない。


クロスは翌日も奈落を目指す。

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