第7話 ニート、仲間達が働いていると知る

 クロスは奈落で得たアイテムを売りに雑貨屋に行く。余っていたコウモリやネズミの牙は40Gになった。


「鉄鉱石なら100Gで買うぞ?」

「いや、これは残しておくよ」


 クロスはいつか強い装備を手に入れるために鉄鉱石は残した。

 クロスは食料を買うためにスーパーに行くと、マリーが品出しをしていた。


「マリーじゃないか、仕事してるのか?」

「あんらー、クロスさん!おひさしぶりだす、クロスさんは働いてないのだすか?」

「あぁ、奈落で稼いで食って行くって決めたからな」

「すごいなぁ、あたすは奈落探索は怖いからクロスさんはすげーよ」


 クロスは何故マリーが怖い奈落を目指すのか気になったが、あまり仕事の邪魔をするのも悪いと思い、また冒険しようと言って立ち去った。

 買い物を済ませて帰る途中、ふと工事現場をみるとジャンが働いていた。先輩らしき人に怒鳴られながら作業している。


「…よくやるぜ、見てるだけで嫌んなる」


 クロスは人と関わる事はできるし注意も聞けるが、叱られたり怒鳴られるのは我慢できない。そのためクロスがどこかの会社に入り、誰かの下につく事はありえない。このご時世は彼のことも「社会不適合者」と言うのだろうか…

 クロスは奈落の一層や二層で手に入るものでは生活していくのは難しいと思い始めていた。働かずに生きていきたい。この願いを叶えるには深層を目指すためにより強い肉体と装備、より深い知識が必要だと認識する。


1週間後

 クロスは怪我もよくなり、冒険できる体調へと回復を果たしていた。感覚が鈍らないようにと一層の探索のため冒険者ギルドに向かう。


「今日の依頼はコレね」


 受付嬢から依頼の一覧表をみるが、一つしか残っていない。


 …………

【死人剣士の遺骨を四つ納品】

 報酬 600G

 …………


 いまの自分1人には荷が重すぎる、仕方がないので依頼はあきらめて待機中の冒険者を見ると初心者オッケーの募集があった。さっそくクロスはその冒険者と会う。


「私はエリス、よろしく頼む」

「クロスです、よろしく」


 エリスはもう少しメンバーが欲しいといい待機を続けた。三層にある魔力草が必要らしい。エリスの本業は薬屋らしく、奈落で取れる数多の薬草は地上の物よりも優れた物が多いらしい。しばらくするとジャンがやってきた。クロスは声をかけた。


「三層か…腕がなるぜ」


 エリスから話を聞いたジャンはやる気だ。本職の給料で新たな装備を拵えたらしい。そしてさらに待つ事数十分、同レベルの冒険者がパーティに加わり、以下の4人で奈落に向かう事になった。今回のリーダーはエリスが務める。


 …………

エリス Level 4

武器…トウヒの杖

盾……青銅の小楯

頭……魔術師のフード

胴……魔術師のローブ

腕……革の手袋

脚……青銅の足鎧

装飾…気配断ちの靴

パン×3

水ボトル×3

傷薬×3


クロス Level 2

武器…青銅の剣

盾……青銅の盾

頭……なし

胴……革の鎧

腕……青銅の籠手

脚……青銅の足鎧

装飾…免疫の指輪

パン×2

水ボトル×2


ジャン Level 1

武器…鉄の斧

盾……なし

頭……ヘルメット

胴……青銅の鎧

腕……青銅の籠手

脚……青銅の足鎧

装飾…なし

干し肉×2

水ボトル×2


ガイア Level 3

武器…木の槍

盾……青銅の大楯

頭……青銅の兜

胴……青銅の重鎧

腕……青銅の籠手

脚……青銅の足鎧

装飾…守りの腕輪

干し肉×4

水ボトル×4

傷薬

毒消し

 …………


 奈落に到着した4人はさっそく、三層を目指して突き進む。

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