罰ゲーム
いつの間にっ!?
すかさず振り返りながら防御に徹する。
「氷壁っ!」
間一髪私と先輩の間に氷壁を生成することが出来たのだが…
「甘いよ」
「雷撃」
雷を纏った双剣による刺突。私の創り出した氷壁の中央からヒビが広がっていき、いとも簡単に砕け散った。
私と先輩の間に存在するものが無くなった。それが意味するのは即ち、接近戦が始まるということだ。
スっと私の首スレスレを先輩の双剣が通過していく…当たったら不味いなぁ
咄嗟に私の出せる最高硬度の氷で刀を創り出す。刀なんてどう使えばいいか、わかんないけどっ!
まあ、私なんかの拙い刀さばきじゃ対抗出来るはずも無く徐々に後ろに押されていく。
だけどそろそろ…
「っ……流石に寒いね」
ここは、私のフィールドだ。
いくら強かろうと慣れない環境、それも極寒ともなれば時間と共に動きが鈍くなるっ!
さっき閉じ込めた時のあれは恐らく、雷で分身を作って本体は高速で私の後ろに来た。
でもそれはもうさせない。
「そろそろ整いましたね。これでおしまいです」
耐久戦において私の右に出るものは居ない。
「絶対零度…樹海の陣」
私の技は時間経過で進化する。
私のフィールド内で既に大量の冷気を吸って体の冷えた先輩は足元から、手先から、胴体から。
体のあちこちが凍っていく。
冷気が溜まったここでなら全ての氷属性の技が強化される。そして氷は自然生成されだす。そう、相手の体から。
「まじかぁ…」
「どうします?降参するならすぐに解きますよ?ここままだと氷の樹木になっちゃいますけど」
人間がまるで木のような状態で凍る私のとっておき。
流石にこれで…
「奥の手使うかぁ。陽菜ちゃん、時間経過で強くなるのは陽菜ちゃんだけじゃないんだよ?」
そう言った先輩の瞳が瞬きの後色が変わった。
紫色に光りだす。
「あ、これやばいかも…」
けたたましい雷鳴の音と共に氷が砕け飛ぶ。
先輩の体からは絶えず放電がなされバチバチと不穏な音をたてていた。
「ぶっちゃけさ、ここまでやるとは思って無かったよ。このフィールド凄いね。でも、私との相性は、悪いかもね?陽菜ちゃん、超電導って知ってる?」
超電導…超低温で電気抵抗がゼロになるっていう……あれ、まさか?
「このフィールド、私からすると最高のステージだよ」
刹那、先輩が視界から消えた。
ドンッという鈍い音がしたと思うと少しの浮遊感を感じる間もなく眼前には壁が迫っていた。
防御姿勢を取ることも出来ずに壁に激突する。息付く暇もなく顔の両サイドの壁に双剣が突き刺さり、先輩の顔が目の前に来た。
「はい、チェックメイト」
「あ、え…」
負けた…?え、嘘でしょ?
「てことで、罰ゲームね」
突然、形勢逆転し、そのまま負けてしまった私の頭はよく動いてくれないみたいで、そのまま呆けていると、唇に柔らかい感触が伝わってきた。
…え?
さっきも十分近かった先輩の顔はもっと近くなっていて、唇同士が接触していた。
なんでぇ?
私の理解が追いついていないのをいいことに、舌までねじ込んでくる。
数十秒たっぷりと口内を蹂躙され、やっと先輩の舌があるべき所へ戻っていく。
どちらのか分からない唾液が私の舌と先輩の舌に橋をかけていた。
「罰ゲームおしまい。皆の前で公開キス」
あ、え。
ぎこちない動きでクラスメイトがいる場所を見ると顔を赤くしながらもガン見する者。キャーキャーと騒ぐ者。顔を手で隠しながらも指の隙間からガッツリ見てる者と、多種多様な反応を示していた。
ほんとに、おわってるわぁ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・ワンポイント・
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