魔法しゅごい
「言っておきますけど!虫刺されです!」
「いやいやいや、それは無理があるでしょ」
自分でも無理があるってわかってる。でもこうするしかないじゃん!素直にキスマークですなんて認められない……
私が目指すのはお淑やかご令嬢…初日から身体中にキスマークを付けて来るはずが無い!
「虫刺されにしては多すぎだし、めっちゃ際どい所にもあったよね…?」
「てか相手だれ?」
「確かあれだよ、生徒会副会長の柊先輩」
「まじ?初日からこれは……狼すぎでしょ」
「うわぁ〜葉桜ちゃん可愛いから狙ってたのになぁ」
「柊先輩相手かぁ。分が悪いなぁ」
一体何の話をしてるの!?この世界の住人は全員恋愛脳なの?総じて百合大好きなの!?
「「「「「まあ、お幸せに〜!」」」」」
「付き合ってないですぅぅぅ!!!」
◇◇◇
あの後も質問攻めにされて本当に散々だった。帰ったら絶対仕返ししてやらなきゃ気が済まないよ…
はぁ、今から魔法実技の試験なのに無駄に疲れた。
「よし、全員居るな。それでは試験内容を説明する。30m先にある的が見えるか?あれを破壊してもらう。ココにある円の中から出なければどんな方法でも構わない。的は強化魔法で強度が高くなっている。生半可な攻撃では壊せないぞ」
ついに来た。ファンタジー要素の要。魔法!
私の中に宿る固有属性はちゃんと把握している。
ヒロインには他の人は持っていない唯一の属性がある……私は、氷属性だ!
本来ギャップの塊であった葉桜陽菜というキャラクターは扱う魔法までギャップもりもりなのだ。
私から言わせてみれば本来のキャラはもはやギャルと言っても過言ではない。そんな陽気な感じのキャラが使うのが氷とは……まさにギャップ萌えってやつなのだろう。
ちなみに柊先輩は雷属性だ。そして主人公は聖属性。あるあるだね。
普通の人達の持つ属性は
火、水、風、土の4つだ。
それぞれに強みがあるけど唯一属性はやっぱり飛び抜けて強いのだ。
みんなが苦労して的を破壊していきついに私の番になった。
「次は葉桜だな。では始め!」
ド派手な技でかっこつけても良いけど、私はお淑やかなご令嬢。
最も美しくスピーディーに終わらせる…!
「アイスニードル…!」
私の前方に1m程の氷の塊が出現する。先の方が鋭く尖っておりどんなものでも貫けそうだ。
氷の棘は生成された後即座に射出され的に向かっていく。脅威のスピードで的に着弾し木っ端微塵にした。
……完璧っ!
「おお、さすがは唯一属性。どれをとっても素晴らしいな。文句なしの合格だ」
「ありがとうございます」
ふふ、見たかな?クラスメイトの諸君。
いかに私がお淑やかかつスマートに事を終わらせることの出来る素晴らしいご令嬢だと言うことがわかったかな?
「今年の新入生は素晴らしいね。特に、私のルールメイトである陽菜ちゃんは筆記も実技も素晴らしいようだね」
……なんだか、とっても聞き覚えのある声だなぁ
ギギギッと音を立てそうなぎこちない動きで首を回し後ろを見るとそこには何故か柊先輩がいた。
「わぁ……副会長だ!」
「なるほど…柊先輩にいい所を見せたかったのか」
「そういうこと?なるほどね」
「試験見に来てくれるとか彼女想いな先輩じゃん」
彼女じゃないってば!というかなんで居るの!!!!
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・ワンポイント・
生徒会所属の人達はとっても強いです
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