試験と魔法とお着替えと
お風呂から上がり髪を乾かしたり着替えたりと準備をテキパキと進めていく。
生徒会副会長には柊先輩が居るので若干尻込みしてしまうがやっぱり入っておきたい。特典が多いみたいだしお淑やかご令嬢として生徒会入りは必須だろう。
入学初日に先輩とえっちしておいて何がお淑やかなのかはこの際置いておくとする。好きでしたわけじゃないし!
「準備できたぁー?」
「あ、はい。出来ました」
「じゃあ、いってきますのキスね」
ポンっと肩に手を置き顔を近づけてくる。
……いやなんで?
「ちょちょちょ……なんしてるんですか?」
「キス。昨日言ったよね?キスまでならしても良いって」
「ほんとにするんですか…?」
もうヤダこの人。朝からキスしてこようとしてるんだけど。
「1回だけですよ?」
「ケチだなぁ…まあ、いいけどさ」
数時間ぶりにするキスは触れるだけの優しいキスだった。にしてもさ、キスしながらこっち見て微笑んでくるの何?胸がキュンとしちゃうからやめて欲しい。
……ガチで惚れさせに来てるのかな。先輩、スペック高いから破壊力強いんだけど
「ふふ、それじゃ頑張ってね!生徒会で待ってるよ」
そう言って先に行ってしまった。
……イケメンムーブやばい
少し悶えつつも部屋を後にした。
寮から出て教室に向かう……のだが迷子になってしまった。何処ここ。
「あれ?陽菜ちゃん、また迷子?」
「……お恥ずかしながら」
「可愛いね。A組だよね?そこを右に曲がって階段登って、左側にあるよ」
「ありがとうございます」
また恥ずかしいところを見られてしまって少し顔が熱い。さっさとその場を離れて教室に向かった。
◇◇◇
教室に着き席に座り試験の開始を待つ。皆自分で持ってきたテキストを見つけて真剣な雰囲気だ。
間もなくしてこのクラスの担任がやってきた。
「それでは試験を始めようと思う。紙を配るのでそのまま待機しておくように」
そして担任が持っている紙が宙に浮かんだかと思うと高速で各席に配られていく。やっぱり魔法ってしゅごい
「では試験はじめ」
◇◇◇
特に詰まること無く試験を終えることが出来た。他のみんなは次の魔法実技の試験のために昨日配布されたいかにも魔法使いのような服に着替え始める。
自分も着替えようとしてある事に気づく。
「……キスマーク忘れてた」
ここは女子校。皆当たり前のように教室で服を脱ぎ下着姿になる。
ここで私が服を脱ぎ大量のキスマークを見られると流石に不味い。だからと言って誰もいない1人で着替えることの出来る場所なんてない。
どうしようかと思案していると隣の席の子に話しかけられる。
「どうしたの?着替えないの?」
「え、あーいや。着替えますよ?」
ええ、もちろん着替えますとも。だからこっち見ないで!
私がうじうじしていると何故か着替え終わった女子達が集まったりこっちを見てたりする。ほんとになぜ!?
「あの、何で皆さんこちらを見て…?」
「いや、可愛い子が着替えるの恥ずかしがってたら見るでしょ」
いや何それ。見ないでしょ
くそぅ、ここは百合ゲーの世界……女の子達の距離の近さとかコミュ力とか……異常だよ!!
ああもう!どうにでもなっちゃえ!
若干の自暴自棄になった私は勢いに任せてシャツのボタン手をかけた。
上から一つ一つ外していき、シャツを脱ぎ去った。周りが騒がしくなるのを無視してキャミソールも脱ぎ去る。どよめきが広がるのを無視してサッと魔法服を着る。
耳とか絶対赤くなってる……
スカートもさっと落とし履き替える。
最後にローブを着ておしまいだ。
若干涙目になっているのを自覚しながらも大量の視線に向き合う。
「何か、文句でも…!?」
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・ワンポイント・
主人公はどうしても迷子になっちゃうようです
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