知らない展開
入学式も終わりなんやかんやあって部活紹介と生徒会紹介も終わった。
ずっと姿勢よく話を聞いてたから疲れた。でもまだ人の目があるから少し体を捻るくらいに留めておく。ご令嬢はみっともなく体を伸ばしたりしないのだ。たぶん。
次は寮に案内されるみたいで体育館からぞろぞろとみんなが出ていくので着いていく。迷ったら嫌だからね!
女子寮が見えてくるとその大きさと綺麗さに驚いた。
共用の食堂、談話室、大浴場など色んな設備が整っていて困ることは無さそうだ。日用品も申請すれば貰えるらしい。
そして寮では勿論、部屋が割り振られるのだけど一人一部屋という贅沢さ。ルームメイト制度もあって2人部屋に住むことも出来るみたいだけど殆どの子は一人部屋だ。
順番に一人一人呼ばれて鍵が渡されるんだけど、私だけ少し離れたところに呼ばれた。なんでだろ。
「葉桜陽菜さんで間違いないですか?」
「はい、そうですけど……」
「ほんっっっっとうに申し訳ありません!こちらの不手際でお部屋の用意が出来ておらず、空き部屋がない状態でして……」
え?なんでぇ〜?
そんな展開あった?無かったよね。だってゲームだと陽菜は普通に一人部屋に居たよね……
「ですから…その、誰かとルームメイトになって頂きたく……」
「あー、えっと…」
いや、困るんだけど!?知り合いの子なんて居ないし、急にルームメイト組めとか…酷くないかな!?知らない人とルームメイトとか嫌だよぉ。ずっとロールプレイ続けなきゃじゃんか。どうしよう……
「ん〜?どうしたの?なにか困り事かな?」
あ、柊先輩だ。…………全く知らない人って訳じゃ無いし…助けてもらおうかな。
「あの、先輩。……無理を承知でお願いがあるのですが…」
「どしたの?なんでも言ってご覧」
「ルームメイトになって頂きたく」
「……なるほど?会ったばかりの先輩をルームメイトに誘うとは、大胆だね?」
いや、そうじゃない!
変な誤解が生まれていたので事情を説明した。
「ふむ、確かに知らない人よりかは1度会った事のある人の方が安心か」
「優しそうな先輩だなと思ったので……嫌だったら大丈夫です」
「嫌だなんてとんでもない。せっかく可愛い子が自分からルームメイトになりたいと言って来てくれたんだ。喜んで受けようじゃないか」
よし!これで変な人とルームメイトになるのは避けれた。主人公には申し訳ないけどまあ、ほかにもヒロインは居るし、そっちに行くでしょ。
「お話纏まりましたかね?それでは柊さんのお部屋にお荷物運んでもいいでしょうか」
「ん、大丈夫だよ」
……柊先輩って1人で2人用の部屋使ってたの?
「あの……」
「ああ、部屋のこと?生徒会特権ってとこかな」
生徒会すげぇー。ゲームの世界だから生徒会の権力があるのか。現実じゃ有り得ないやつね。
「それじゃ、軽く自己紹介でもする?
私は柊 玲奈。生徒会の副会長になったばかりだよ。来年には会長だ。よろしくね」
「えっと、葉桜 陽菜と言います。生徒会に入りたいと思ってるので、頑張ります!」
「生徒会に?いい心掛けだね。応援してるよ」
「ありがとうございます」
いや〜。本当にいい人そうで良かった。でも完全に素で過ごすのは無理そうだよねぇ。まあ、程よくリラックス出来そうではあるし何とかなるかな。
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・ちょこっと裏話・〜名前編〜
柊って花のイメージあまり無いですよね。
一応、花は咲くんですよ。なのでちゃんと花の名前が入った名前になってます。
でも柊と言えばあのトゲトゲした葉っぱですよね。葉がない柊なんて想像つきませんね。つまり「葉」はとても大切で切っても切れない関係な訳で。…………あれれ?名前に「葉」
が入ってる子が居ましたねぇ?
もしかして……運命?
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