27 関 ――尋問――
橿原に問い掛けられるままに、関が淡々と語っていく。
「村に着いて車を止め、高槻香奈の家を証言を取る為に訪れました。挨拶をして居間に通され、再度証言を聞いて」
居間で向き合う高槻香奈、証言の内容を書き留め、―――。
庭から流れてきた香り。
「出されたお茶を頂いて、庭をみて何かいって、…それから辞去した、までは憶えてるんですが」
「関さん、庭には何があったのか憶えていますか?」
「…庭にですか?」
「ええ、庭にです」
訝しい顔をしながら、関が思い返す。
「庭、…樹があって、楓と松があって、縁側近くにはさがありましたね。簾みたいのの上に薬草が干してあって、そういえばそれを薬にするんだという説明を受けました。…それから、庭に、」
「――庭に、…関さん?」
「…――庭に、白っぽい石の、…臼があって、臼っていうか、その下半分みたいな。それに、…―――――その上に、…!」
突然、気がついて驚いた顔をして関が橿原を見返す。
「…白い臼の上に、…鉄錆の浮いた棒が、…すりこぎのような、けど鉄でできた、…――――あれは、…」
茫然としながら関が語る。
「…ききました、…説明を、―――薬草をそれで磨り潰すものだと、何でいままでわすれて、―――…橿原さん!」
「その石臼の上で見たのですね?凶器を」
「…そうです。どういうことなんです?」
茫然として橿原を見あげていう関に。
身を起して、しずかに見下ろして橿原がくちにする。
あえかに微笑んで。
「処で、君の指紋があの凶器の血痕の下から見つかりました」
「…やっぽりおれがやったんですか?」
「関さん」
「―――…橿原さん」
眉を寄せてまっすぐに見上げてくる関を、橿原が微笑んで見つめる。
「橿原さん?」
「いきましょうか、車を出してください。単独行動は禁止されているでしょうが、僕と一緒なら単独にはならないでしょう?」
「って、何処へ、―――一応、自宅謹慎なんですが」
「課長さん、僕には弱いですから」
「…―――――」
難しい顔をして関が身を起こす。
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