21 滝岡 ――鷹城秀一――



眠っている鷹城の蒼白い顔を横に眺めながら、滝岡が眉を寄せる。静寂に浸された病室には、薄青い闇が降りていた。

当直の看護師の代わりに、病室に待機しながら。

殆ど動かず息をしているのか確かめたくなるような鷹城の寝顔に、思わず眉を寄せて視線を逸らす。瞳を閉じて腕を組み仮眠を取ろうと椅子の上で姿勢を変えた滝岡の耳に、その音が届いた。

瞳を開け、静寂の中、病室の向こう、―――廊下から微かに響いた音に耳を澄ませる。



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