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 壁沿いにベッドが置かれてて、そこには幸せそうに眠る康の姿がある。


「……ホント良く寝るよね。康は」


 カーテンは閉められていないから、部屋の中はもうじゅぶんすぎるくらい明るいのに、康は私が普通に入って来ても起きる気配がなく、ピクリとも動かない。


 静かな寝息が聞こえてくる。

 横向きでこっちを向いて眠っている。


「康、朝ですよ」


 ベッドの前でぺたんと座って、小さな声でそう言ってみたけど、康は起きる気配がない。


 夜11時にはベッドに入って寝てしまうくせに、朝は誰よりも遅い康。


 もう高校生なのにその睡眠時間には笑っちゃうけどそういうとこ、のんびり者の康らしいなって思う。


「起きて、康」


 少しだけ声のボリュームを上げてみたけどやっぱり起きる気配はない。

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