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 けたたましく目覚ましがなっても、お母さんに怒鳴られても起きない康だから、これくらいで起きないのはもう長年の付き合いで百も承知。


 あ、康、前髪伸びたなぁ。


 ちょっと失礼……人差し指で前髪にさらっと触れると康の瞼がピクピクと反応した。


 柔らかい髪。


 ほんの少しクセのある髪質は康の雰囲気にとっても合ってる。


 さて、起こしますか!


 私はその髪に指を指し込んで頭をゆっくり撫でた。


「康、起きて。朝だよ」


 その顔を覗き込んで小さな声で言えば、今まで全く開かなかった康の瞼がゆっくり開く。


 それを確認した私はその頭からゆっくり手を放した。

 やっと開いた目でぼんやりと私を見つめる康。


「……亜古?」


「うん、おはよ」


「はよ」


 笑いかけると、私の笑顔に反応したのか康も少し口角を上げる。

 康はいつもこんな感じ。

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