第1話

「はあー、疲れたー!」


さかぐちクンは、帰ってくるなり、ネクタイをゆるめながら、そういった。


「さかぐちクン、おつかれさま」


「ありがとー、でも早く終わらせたいよー」


大学生活3年目も、残すところ、あとすこし。


さかぐちクンは、連日、就職活動に励んでいた。


「さいとうサンは、そのまま花屋で働くんだっけ」


「うん、もう面接もおわって、正社員登用してもらえることに…」


さかぐちクンは、つくえのうえのガーベラをすこし見たあとに「さいとうサンに合ってる!」とわらって言ってくれた。


それが、素直に、うれしかった。


「さかぐちクンにも、いつか、花束を渡したいな」


「ふふ、たのしみにしてる」


さかぐちクンは、どんな花が似合うかな、


いろは?かたちは?


「花は、ことばをくれるから」


儚い花に、きもちを乗せて、


あなたに、どんな言葉をおくろうかな。

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