第4話

「改めまして、さいとう さくらです!えっと、お姉ちゃんに連絡までしてもらって、すみません!」


なんだか、別人格のさいとうサンを見てるようで、思わず笑ってしまった。


「さかぐち ゆうです。お姉ちゃん、多分20時くらいに帰ってくると思うけど、さくらちゃんは夜遅くなっても平気なの?」


さくらちゃんは、こくんと頷いた。


「明日、開校記念で学校休みで、あんまりお姉ちゃんに会えないから、会いたくて…。家は近いので歩いて帰れます!」


健気だな、と思っていたら、さくらちゃんは、色々話し始めた。


さいとうサンが、実家を離れて、一人暮らしを始めてから、年に一、二回しか会ってないこと。


連絡が返ってくるのも遅くて、思わずアポ無しで来てしまったこと。


バイトとか彼氏とか、知らないことが増えて、なんだか寂しくなったこと。


「お姉ちゃんは…わたしのことが、きらいなのかな…」


さいとうサンは、自分の話をあまりしない。


何を考えてるかよく分からない時も多いし、答えてくれない時もある。


正直こんな家族問題に、踏み込んでいいのかもわからないけど、


「さいとうサン、最近よく笑うようになったんだ」


「え?」


「おれには家族のことはあんまり分かんないけど、お姉ちゃん、今までは、少し余裕がなかったのかもしれないよ」


そう言ってニコって笑うと、さくらちゃんはうるうるとしてた目を擦って、同じように笑い返した。


しばらく、他愛のない話をしていると、入り口の来客チャイムが鳴って、さいとうサンが息を切らした様子で現れた。


「…さくら、どうしたの?」

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