第4話

コップにはいってた氷が、コロンとおとをたてた、


わたしは、さくらが咲いていたときのことをおもいだした。


「あの日、さかぐちクンは、どうしてわたしに声をかけたの?」


さかぐちクンは、お茶をひとくちのんだ。


「…ほっとけなかったから」


そういって、さかぐちクンは、本にはさまっていた、紙切れを手にとった。


しろいノートの切れ端に、ボールペンでかかれた字、


「人に優しく、自分は強く。かーさんの口癖。」


人に優しく、


自分は強く…、


それが、さかぐちクンにかけられた、呪いみたいだとおもった、


さかぐちクンは、


おかあさんのことばを、たいせつにして、


おとうさんのタバコで、自分を保ってる、


きっと、くるしくて、つぶれそうなときに。


「わたしは、さかぐちクンなら、よわくても、やさしくなくても、いいよ、」


さかぐちクンは、ははってわらった、


それをみて、わたしは、かなしくなった。


「…だから、むりして、わらわないで、ほしい」


さかぐちクンは、なにもいわなかった。


わたしは、うつむいてたから、


そのとき、さかぐちクンが、どんなかおをしていたか、わかんなかったけど、


わたしの手を、つよくにぎったのをかんじた。


そとはすっかり暗くなったけど、


きっとそのまま、ねむってしまっていた。

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