第0話

それから、


さかぐちクンのおうちによく行くようになった。


さかぐちクンは、


ふたりでいると、あんまり、しゃべらなかったけど、


1日いっこずつ、じぶんのことを、はなしてくれた。


すきなたべもののはなし、


むかし飼ってたペットのはなし、


よく聴くおんがくのはなし、


さかぐちクンは、おばあちゃんっ子で、


料理はおばあちゃんからおそわったこと。


土曜日のよるは、さかぐちクンのおうちにいくのが、あたりまえになった。


なんとなく合鍵は返さなくてよくて、


なんとなく2ヶ月くらいたった。


季節は夏にかわったけど、


やっぱりさかぐちクンは、なにもしなかった。


学校でさかぐちクンとはなすことは、めったになかったけど、


しらないことより、しってることのほうが、多くなった。

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