第7話

大学内では、すこしだけ、うわさになった。


「うそ、さかぐちクンが?」


「ホントだって!こないだ一緒に歩いてるとこ見たって」


「やだ…好きだったのに…」


「よりにもよって、さいとうさんかよ」


「意外とやることやってんだな」


このあいだまで満開だったさくらは、


あっというまに、ぜんぶ散った。


「サイトーちゃんっ」


おちた花びらを、


だれも気にせず、あるいてた。


「今日は、オレの家で遊ぼーよっ」


だれだっけ、このひと、


「うーん…」


べつに、


だれでも、いいか、


「駄目。」


「え、」


「さかぐちクン…?」


「さいとうサン、今日はおれと用事あるんで。」


やさしく、肩にふれられた。


さかぐちクン、走ってきたのかな?


すこし、息が荒い、


それから、なんとなく、


「そっかー、じゃあまた今度ねー」


おこった、かお。


「さいとうサン…」


「はい、」


おこってる、


「今の誰?」


こえ。


「わかんない、」


なんとなく、


目をそらした。


そのあとに、


さかぐちクンが、おおきなため息をした。


「今日、おれん家こない?」


目を見てみると、


「…うん、」


さかぐちクンは、かなしそうにわらった。

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