第3話

おとこのひとのいえは、


何回も、いったことある、


「ここ」


パターンは、いつも、おなじで、


わたしはそれを、受け入れるだけ。


「どうぞ」


さかぐちクンも、


べつに、かわんない、


「…おじゃまします、」


さかぐちクンの部屋は、


いがいと、キレーで、


すこしだけ、タバコの匂いがした。


「腹減ってる?」


「…うん、」


吸うのかな、


なんて、わざわざきかないけど、


わたしは、さかぐちクンのかおを、ちらっと見た。


「さいとうサン、食えないものある?手作りでも良ければだけど」


「え、あ、わかんない」


そう言うと、さかぐちクンはふふっとわらった。


「なにそれ、じゃあテキトーに作っちゃうね」


そのままさかぐちクンは、キッチンにたって手際よく料理をつくりはじめた。


さかぐちクンは、


料理とか、よくするのかな、


おとこのひとに、つくってもらうのは、


はじめて。




「はい、どうぞ」


さかぐちクンは、つくえに皿をならべた。


「わ、すごい…」


「名付けて、大人のお子様ランチ!冷めないうちにどうぞ。いただきます。」


ちゃんと、手合わせるんだ、いがい…。


「…いただきます、」


オムライスと、ちょっとのナポリタンとポテトサラダ、あとエビフライ…


「おいしい…」


なんだか、なつかしい味、


「ふふ、ありがとう」


あたらしく知ったさかぐちクンは、


部屋がキレーで、


料理がおいしくて、


いただきますをちゃんとする、


わらいかたが、かわいい、おとこのひと。

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