第2話

日が暮れるまえの、図書室、


名前順で組まれたペアワークのペアは、


経営学部のさかぐちクンと。


「さいとうサン、これ書き終わったらおっけー」


「うん、」


さかぐちクンも、ちょっとした、有名人、


やさしくて、


かっこよくて、


誰とでもなかよくなれる、のに、


カノジョとかはつくらない、


みんなテキトーにおわらせる、レポートも、


わざわざいっしょにやるような、まじめなひと、


「さいとうサン、この後の予定は?」


わたしとは、ちがうひと。


「うーん、帰ってねよーかなー、」


「そっか」


空いていた窓から、すこし、風がふいた。


「じゃあ」


春の匂い、


「おれん家に来ない?」


きょうもわたしは、


「…うん、」


ひとりじゃない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る