第8話 美熟女を口説く。そしてメンヘラパパ活地雷系女子を拾う。(前)

 僕、芳賀よしか達吉たつきちは何処にでもいる大学生だ。あまり目立たない方だけど、かといって誰かに嫌われるでもない。そんな普通の人だ。今日も学校を低燃費で過ごして、家に帰ってネトゲや漫画などでダラダラと過ごした。


「でも珍しいな。久瀬さんが学校を休むなんて」


 彼女とは高校一年からのけっこう長い付き合い(男女交際的意味ではない)だけど、学校を休んだことを見たのは初めてかもしれない。派手で可愛い今どき女子だけど中身はすごく真面目な彼女は高校の頃からすごく頑張り屋さんだった。その顔は僕だけが知っている。他の人が知っている彼女は八方美人でいい子な表面だけだろう。


「それにしても昨日のパンチラは最高だったなぁ」


 ピンク色のフリフリとしたフリルなかわいらしいパンツだった。その前のブラチラは黒色で刺繡が派手でエッチなデザインだった。彼女はいつも僕をエッチな挑発で揶揄ってくるのだ。いつもそれにドギマギさせられて困らせられているけど、彼女がそうするのは僕だけ。そのことにどこかほかの男への優越感を覚える自分がいることを自覚することを感じた。彼女は僕を揶揄っていつも笑う。その笑顔が大好きだ。


「風邪らしいし。お見舞いに行った方が良いよね」


 僕たちは同じ大学を受験し、同じ学部に合格した。そしてなんと偶然なのだが同じマンションの隣同士に引っ越すことになったのだ。必然的にいつも学校へ一緒に行き、同じ事業を隣同士で受けている。高校の頃と同じ楽しい日々が続いていることに幸せを感じるほかなかったのであった。


「久瀬さん。お見舞いに来たよ」


 僕は色々な食材を持って隣の久瀬さんの部屋の前にやってきた。ベルを鳴らすとすぐに出てきてくれた。


「…達吉くん…何か用?」


 ドアを開けて久瀬さんが姿を見せてくれた。タンクトップに短パンのラフな部屋着。その無防備な姿に少しドキッとしてしまう。


「ご飯作ってあげようかなって」


「…そんなことのため…?…ふぅ。どうぞ」


 久瀬さんはどこか気だるげな雰囲気だった。風邪のせいなのだろう。だけどどこか色気のようなものを感じてしまうのはなぜなんだろう?


「じゃあお夜食作るね」


「はい。お願いします」


 いつもなら快活に僕に話しかけてくるのだけど、今の彼女には元気がなかった。本当に珍しく体調を崩しているようだ。キッチンで僕が出汁の利いた粥や消化にいいものを造っている間、久瀬さんはリビングの座布団の上で胡坐をかいて暗い顔で俯いていた。


「調子悪いみたいだね」


「…そうだね…」


「昨日の課題のフィールドワークのせいかな?けっこう歩き回ったんでしょ?データがいっぱい送られてきて驚いたよ。久瀬さんが疲れて先に帰ったって連絡もらった後もそのデータを纏めるの大変だったんだ」


「…そう…うん…昨日はね…すごく疲れたの…ふぅ…」


 どこかうっとりとするようなため息を吐いている久瀬さんの顔は赤く染まっていた。熱があるのかもしれない。ご飯をリビングのちゃぶ台に運んだあと。僕は彼女の額に手を当てる。


「熱はだいじょうぶそうだね」


「…やめてよ…」


 どこか冷たい声で、久瀬さんは僕の手を払った。その瞳はどこか虚ろに見える。


「え?あ、ごめんね。久瀬さんが心配で」


 その時胡坐をかいた久瀬さんの短パンから黒のレースのパンツが見えた。それとタンクトップからは胸の谷間がはっきりと見えた。


「やめて。見ないで」


 久瀬さんは胡坐から女の子座りになり、近くにあったパーカーを着こんだ。まるで僕の視線から逃げるように。


「ごはん作ってくれてありがとう。でももう今日は帰って。風邪移したくないし」


「別に移ることなんて気にしてないよ。いつもみたいにいっしょに食べよう」


 僕がそう言うと久瀬さんはひどく冷たい目を僕に向けてきた。


「伝わらなかったみたいだね。わたし、今誰とも一緒にいたくないの」


 その言葉には有無を言わせない雰囲気があった。久瀬さんが不機嫌になるときは過去に何回かあったけど、こんなに冷たい顔は初めて見た。


「早く。帰って。お願いだから」


 久瀬さんは僕から視線を反らしてそう言った。これ以上は何もしゃべりたくないそんな意思が汲み取れた。僕はそんな彼女の様子にショックを受けた。だけど何も言えずに結局帰ることしかできなかったんだ。

















 日が沈みかけていたころ。怒りのスラップベースで俺は今日もまたフラれた事実を何とか誤魔化そうとしていた。だけどマジでムカつく。ほんと腹立つ。まじでなんなの蛙化現象…。俺のハートはもはやまじブロークン。辛すぎぴえん!


「はぁ…ベースくんと戯れてもちっとも心が落ち着かない。悔しくて悔しくてつらたん…」


 というかこのまま一人でいると頭おかしくなりそう。誰かと一緒に痛いと強く思った。俺はスマホの着信履歴から誰のだかよくわからない番号にかける。


「もしもし。何か御用ですか?メッセージをどうぞ」


『レイジ。お前から電話からかけてきて何言ってんの?なんか用か?』


 オシャボ君が電話に出てくれた。すごく嬉しい自分がいることに気がついた。


「ちょっとさ。飲みいかない?」


『お前から誘ってくるの?この間から酒やめるやめるっていってなかったか?』


「それはあれだから。やめるやめる詐欺をやめるやめる詐欺をやめた感じ」


『意味わかんねー。まあいいよ。何があったか知らんけど、付き合うよ』


「おっしゃ!じゃあ池袋来てよ。いい店知ってる」


『わかった。じゃあまたあとでな』


 そしてオシャボ君と飲みに行くことになった。俺とオシャボ君は池袋で待ち合わせて、俺のお勧めの店に連れて行った。


「え?ここって。え?」


「そう。ここがお勧めのお店。相席居酒屋~♡」


「おお!おおおお!」


 童貞のオシャボ君はなんか恥ずかしがりつつも楽しそうな興奮顔を見せている。


「つーわけでさ。女の子と楽しくお喋りしながら飲もうぜ!」


「おう!今夜は楽しもうぜ!」


 オシャボ君と俺はハイタッチして店に入る。そして店内でちょっと待たされて、同じ二人組の女子とマッチングしたので席に案内された。


「あら?あなたたちがお相手?私はイトハ。今日はよろしくね。楽しみましょうね」


「よろしくお願いします」


 通された席にいたのは妙齢の美女OLと、若い可愛らしいOLさんの二人組だった。俺はササっと美女の目の前の席に座った。処女率を考えた時、当然年齢が上がれば上がるほどその可能性は下がる。俺はここ三日間で三人の処女に心をズタズタにされた。当然処女でない可能性の高い熟女へ行く。人として極めて常識的な選択と言えるだろう。オシャボ君は若いOLさんの前に座った。まあOLさんだし多分経験はあると思うけど、万が一の可能性を考えたら恐ろしくて相手は出来ない。


「イトハさん。俺はレイジっていいます。ぶっちゃけます。タイプです。今日はよろしくお願いします」


「あら?こんなおばさんにそんなこと言ってもいいの?本気にしちゃうわよ?ふふふ」


 おばさんなんて自嘲しているけど、イトハさん。すごくスタイルがいいし、首から胸元まで露出しているシャツから見える肌もとても綺麗。じゅうぶんあり。いや。普通のこれ大当たりだろ。ちなみにオシャボ君はオシャボ君で目の前のOLさんが好みっぽくデレデレしてるので、お互いに大当たりっぽい。


「本気上等ですよ!いやマジのガチで。ははは!」


「あらあら。ふふふ。私若作りだけど、もう大学生の娘がいるような年なのよ。いいの?」


 大学生の娘がいる!?最高じゃないか!絶対に処女じゃないだろそれ!もしも娘さんが神様の子って話は変わるけど、それは流石にないからもう確定で経験済み!ぜってぇこの女落す!そして店員さんが各人の酒を持ってきてくれた。


「ふっ!イトハさんの瞳に乾杯!」


「「「かんぱーい!!!」」」


 そして俺はテンションを上げるために一杯目のハイボールをその場で飲み干した。そこから記憶がない。そして気がついたときには。


「レイジ。大丈夫?」


 しっとりとした内装、淡い光源だけの部屋。スケスケのシャワールームが見える。間違いなくラブホ!だけど俺の隣にいる女はイトハではなく、ピンクがかった銀髪の若い別嬪さんだった。もちろん生まれたままの姿だった。


「あたしがいるから寂しくないよ」


 銀髪の女の子は俺のことをぎゅっと胸に抱き寄せる。おっぱいがやわらかいおっぱい。だけどそんなことはどうでもいい!まただ。またやっちまった?!相席居酒屋に行ってなんで知らん女の子と俺は寝てるんだ?!俺は頭痛が痛すぎてたまらなかったのだった。



---作者のひとり言---

まじで学ばない主人公レイジ君。こいつマジでどうしようもねぇな。(・ω・)


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