#子供部屋#
私が6歳の時である。
私は両親と共に祖父母の一軒家の家に引っ越した。
そこで私は人生初めての自分の部屋を手に入れる事ができた。
部屋は3階の1番大きな部屋だ。
祖父母は1階、両親は2階だ。3階の小さな部屋は父が仕事部屋として使っていた。
前回話したように、父は首を吊る。
私の部屋と父の仕事部屋との間にある、ベランダへ出るための扉の金具にロープを吊るして。
ここでは私の部屋での奇妙な体験を綴る。
私は自分の部屋が自慢で、よく友達を連れてきていた。なかでも大親友のカナちゃんは、ほとんど毎日私の家にきてくれていた。
カナちゃんと当時流行ったアニメの魔女ごっこをしていた時の事だ。
カナちゃんがおもちゃのステッキを回して変身するフリをしていた時、
「え?何か言った?」
「何も言ってないよ?」
こんな会話がよく見られるようになった。
特に怖くもなく、ステッキを振り回した時の風の音かと思い、カナちゃんと私は続きを遊んでいた。
「これで倒すね!」
「うん!私これやるからカナちゃん敵の真似して!」
「何言ってんの?」
「え………??」
カナちゃんと会話が成り立たなくなる事もたまにあった。カナちゃんは決して何か障がいを持っている訳ではない。
少々疑問は残ったが、そろそろカナちゃんの帰る時間だ。カナちゃんとは家が近かったが、私の母とカナちゃんのお母さんは仲が良かったので、わざわざ毎回うちまで迎えにきていた。
片付けをしている時、カナちゃんのお母さんの声が聞こえた。
「降りてらっしゃーい」
カナちゃんと私は棚に隠れた。これは、いつも2人でやる遊びだ。カナちゃんのお母さんか、私の母が見つけるまで隠れ、見つかったらカナちゃんは帰るという、もう少し遊びたい子供心の小さな抵抗だ。
「お母さん疲れているの、早く降りてらっしゃい」
だが、声は扉の前から聞こえていた。私とカナちゃんは不審に思いながら、まだ隠れる事にした。
「ここまで来ているなら、開ければいいのにね」
「うん」
カナちゃんと私は小声で会話した。
「お母さん疲れているの、早く降りてらっしゃい
」
また同じ事を言ってきた。なんだか妙で、少し怖くなった私達は、棚から出て扉の前まで行った。
「お母さん疲れているの、早く降りてらっしゃい
」
私は扉と床の隙間を覗いてみた。影がないのだ。
「お母さん疲れているの、早く降りてらっしゃい
」
「お母さん疲れているの、早く降りてらっしゃい
」
「お母さん疲れているの、早く降りてらっしゃい
」
私達は怖くなり、お互いに手を繋いで半べそをかいていた。
すると急に扉が開いた。
「あれ?今日は隠れなかったの?何2人して。喧嘩でもした?…ほらカナ帰るよ」
そこにはカナちゃんのお母さんがいた。
私達は顔を見合わせ、カナちゃんのお母さんに抱きついた。
その後カナちゃんはお母さんにべったりで帰宅していった。
あれがなんだったのか、いまだに私達はわかっていない。
次の日カナちゃんからお手紙をもらった。
そこにはこう書いてあった。
『きのうあそんでいるときに、うそはついちゃいけないよときこえたよ』と書いてあった。その声は私の声だったと言う。
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