7月号

会社のビルのロビーにはたくさんの七夕飾りで彩られた大きな笹がいくつもセットされている。


田村が書いた短冊チェックの時間だ。


・近藤さんとキスできますように

・近藤さんとお付き合いできますように

・近藤さんが私だけの彦星になってくれますように


って具合にきっと俺の事が書いてあるに違いない。


確か田村は赤い短冊でこのあたりに……



【みんなの願いが叶いますように】



……、


……。


……っ、


…田村、…俺の織姫。


マジで好きです愛してます。

俺と結婚してくださいお願いします。


それなのに俺ときたら…


・俺の織姫になれ田村

・早く田村と天の川でチョメチョメしたい

・田村を俺のミルキーウェイまみれにしたい


欲望炸裂の頭を数回殴って脳味噌を揺らした。



【田村さんの願いが叶いますように】



今まで生きてきた中でいちばんの美文字で書いた短冊を大好きな田村の短冊の隣に願いを込めて飾った。



田村の彦星になりたいけど、1年に1度しか会えないなんて切ないよな。


1年に1度しか織姫田村に会えないなんてそんなの無理だわ、俺。


俺は田村に毎日会いたいよ。


仕事とはいえ週5であのかわいい田村と会えてるなんて俺は幸せだな。


明日7月7日の天気予報はくもり。

きっと会えるよな、織姫と彦星。


俺はへったくそな小さいてるてる坊主を作って揺れる笹の葉にそっと飾った。


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