6月号

梅雨。


雨って好きじゃない。

ジメジメして頭も痛くなるし髪型もイマイチ決まらないしなんか気分が重いんだもん。


「やだなぁ雨」


仕事を終えて会社を出る。

傘を広げて何歩か歩き出したところで大好きな近藤さんの声がした。


『助かる田村サンキュー』


背の高い近藤さんが腰をかがめて私の傘に入ってきた。


「近藤さん!」


顔近っ!

ちょっと濡れてて色気がすごいんですけど!

かっこよすぎるんですけどー!!


『ちょっとそこまで入れて』


タイミングよく俺の前で傘広げた田村マジ天使。

本当は傘あるんだけど。


「イヤでーす」


ウソ。全然イヤじゃない。

本当はめっちゃ嬉しいんです!


『なんだと?』


素直じゃない田村マジかわいい。好き。


『濡れちゃうじゃん、俺が』


近藤さんが傘を持つと私の肩を抱き寄せた。


「ひゃ」


抱き寄せる力がすごくて思わず近藤さんにしがみついちゃった。


『……』


…なんだよコレ。

なんなんだよコレ、なあ。

かわいすぎるんだって田村。


『田村』


名前を呼ばれて顔をあげると目の前に大好き近藤さんの顔。


「……」


…か、かっこいい!

今まででいちばん近いしかっこいい!


『……』


やべーめっちゃかわいいマジでかわいい本当にかわいい!

この唇奪いてえー!!


「近藤さん…?」


なんだかすごく苦しそうな顔をしている近藤さん。


『田村…』


あーかわいい田村。

あーしたいしたい今すぐ田村にキスしたい。

いやいやだめだ。耐えろ俺。

今田村にキスなんかしたらキスだけで我慢できる気がしない!

絶対にそれ以上の事しちゃう自信がある!

耐えるんだ俺。


『悪い田村、行くわ。おつかれ』


頑張った俺!耐えた俺!


「あ、はい。お疲れ様でした」


あードキドキした!

あーかっこよかった!

キスしちゃいそうだった!

あーキスしたい近藤さんと!



梅雨最高。

相合傘万歳。

雨は冷たいけど顔と身体が熱い。


大好き。


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