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「俺でいいじゃん」


「……」


「…なんか違うな。俺にしろよ」


「……」


「これも違うんだよなー。俺に……う~ん…」


「まだ言ってる!ノブ、ありがとね」


フラれた私を慰めようとしてくれるノブがかわいくて面白くて。



ついさっきまでこの世の終わりみたいに感じてたけど、私、今、ノブのおかげで笑えてる。



気が付いたら雨は上がっていて澄んだ空に大きな虹がかかっていた。



「あ、虹。ちょー綺麗」


「うわ!すっげえ。虹出しちゃった俺」


本当にノブが虹を出してくれたみたい。



「どう?俺」


「すごーい」


「うん、いや、そうじゃなくて」


「…嫌いじゃないよ、ノブのこと」


「マジ!?じゃあつきあってよ」


「え」


「今日1日くらいいいじゃん」


「あ、うん」


そっちのつきあうね。

勘違いしてバカみたい。


「マジでつきあってくれてもいいんだけど?」


私の顔を覗き込むノブの目に、気持ちを見透かされてるみたいでドキッとした。


「フラれたばっかの女によく言うよね~。さすがノブ」


「だからだよ。正常な判断ができないうちに俺が彼氏になっちゃおっかなぁ~って。あっはっは~」


「なにそれ。軽っ」


「重いよりよくね?」


さっきからノブの言葉にハッとさせられてばかり。


「…そうかもしれない」


いつの間にか重くなっていた私の恋。


「暇だろ?フラれて」


「うん。めっちゃ暇~」



ノブの軽いノリが、私の心を軽くさせていく。



「とりあえず虹の根元まで行ってみんべ」


「ええ?」



子どもの頃、虹の根元には宝物が埋まってるって聞いてワクワクしたのを思い出した。

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