第9話 ギルドの説明




書類に記入して受付嬢に渡す。


この世界の文字の読み書きができる。

ステータスにある異世界言語の効果だろう。

これはありがたい。


「サンタさんですね。では、水晶に手をあててください」


カウンターにある水晶に手を乗せると水晶が青く光った。


「犯罪歴はありませんね。大丈夫です」


水晶で犯罪歴がわかるのね。

便利な水晶だ。



「Lv2 強さ2!? 魔力0!? スキルは$%&!? 文字化けスキルですか!?・・・」

受付嬢はずいぶんと驚いている。


俺には文字化けの横に(空間ポケット)と出てるんだけど、他の人には見えないのかな。



そう思っていると


「本当に冒険者としてやっていくおつもりですか」


受付嬢が心配そうに聞いてくる。


「え?なぜです」


「強さと魔力がありえないくらい低いです。スキルも文字化けなのに冒険者をするとなると魔物討伐は無理と思います。出来るのは薬草採取くらいしかないですよ」



酒場のほうで飲んでいる男たちがこっちを見ている。



確かに受付嬢のいう通り、魔物討伐は無理そうだ。


文字化けスキルは使えるようになったからいいとして、ステータスが低すぎるのは確かだ。


「引っ越しの手伝いとか防壁の修理とかありませんか」


「ありますけど、引っ越し、配達、運送の依頼など、それらの仕事はギルドの魔法袋貸し出しで町の人がやっています。防壁修理は力仕事なので、あまりに弱いと務まりませんよ」


なるほど。


それらは町民の仕事なのか…


それに肉体労働はそれなりにステータスが必要ということか……




詳しく聞くと


魔法袋が普及していて配達や引っ越しの仕事は町の人たちがやっている。

そういった仕事は身元がしっかりしていないと受けられない。

持ち逃げなどを防ぐため。

冒険者の仕事は薬草採取や護衛、魔物討伐がメイン。



ということだ。




なんでも100年前に魔法袋を作れる錬金術師が作り方を公開したそうだ。

それ以来、魔法袋の錬金術式が広まり、いまでは魔法袋は普及している。


魔法袋の中は時間が止まるのかと聞いてみたが、時間は普通に経過しているとのこと。

重量は軽減されるので超重量のものをいれても大人なら持てるそうだ。


時間がゆっくりになる魔法袋もあるが、それは1級品でべらぼうに高いので、おもに貴族や商人が使っているという。




ショックだ。

引っ越しや配達などの仕事ならと思ったが、出来ないのか。


冒険者になっても採取しかできそうにない。

採取も魔物と遭遇する危険がある。


森にすてられた理由がなんとなく分かった気がした。


せっかくやれる仕事を、と思ったが心の準備が必要だ。

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