4
アイツの事わかってるつもりだった。
いい気になって甘えすぎてたな、俺。
今日イライラしてんのはすぐわかった。今日で付き合って3年ってのもわかってんだよ。
なのにアイツあんなにキレるから…。
とりあえず電話したけど出ない。
「…出ろよ…出てくれよぉ」
次はメッセージだ。
『今どこ?』
あ、さっきの既読ついてんじゃん。
ならば返事をよこせ。心配するだろうが。
『今どこ?』
『どこだ!』
『どこにいる!』
『帰ってこい・』
あ、記号間違えちゃったじゃねーか!
すぐ既読になるが返事がない。
俺がよくやる既読無視だ。クソっ。
電話も出ない。クソっ。
「あーもう!!」
俺は車に飛び乗った。
「こんな時間にどこ行ったんだよ。行くとこなんか…ねーくせに…」
とりあえず車を走らせたもののどこに行けばいいのかわからない。
アイツが行きそうなところを必死で考える。
不審車両ギリギリの低速で安全走行しながらあちこち見渡す。
「あ、いた」
いつも行くすぐ近くのコンビニにアイツはいた。
「イートインスペースで優雅にコーヒー飲んでやがる。気取ってんじゃねえぞコラ」
ホッとした。俺は心底ホッとした。
「いらっしゃいませ~」
俺は隣に座った。
「どうせならもっと遠く行けや。必死で探させろ」
……クソが。
なんで「ごめん言いすぎた」って言えねんだ俺は。
いや俺は何も言ってない。言いすぎたのはコイツだ。
「こんな近くなのに来るの遅いわ」
こんな時でも強気!かわいくねえ!
「すぐ見つけちゃう俺すごくね?」
「…来てくれなかったらどうしようかと思った」
聞いた事がない弱々しい声にドキっとした。
両手で顔を覆って…たぶん泣いてる。
マジかよ。
なんだよそれ。俺が泣かしたみてーじゃねーか。
泣きたいのはこっちだよ。
「…って、だれが泣くかバーカ」
腹立つくらいの笑顔で俺に抱きついてきたコイツのいつも完璧な化粧がちょっと崩れてた。
「ありがとうございました~」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます