お友達
年末も押し迫った12月28日
昨日、光輝とシモピーさんと岩本さんと飲み過ぎて、起きたのは11時。
スマホを見ると光輝からラインが来ていた。
『今日仙台に帰ります』
昨日あの時間だったのに8時にラインきてる。
『またデートしてください。
休みにそっちに行きます』
だからデートじゃないってば。
『好きだよ』
わお
2年前のあの時の光輝の気持ち。
昨日聞いたのはきっと本心だ。
酷いんだけど、なんかスッキリした。
泣いて暮らしたあの日々を思い出すと若干イラッとするけど、でも聞けてよかった。
あの時、そんなウソをつかずに話してくれていたら…
『880円』
あ、そしたら巧実さんとは出会ってない。
違う未来になっていた。
あーー…結局いきつく答えが
どうしたいの私
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ラインは根岸さんだった。
『今日バイト?』
え、もしかしてお店予約してとかそういうあれかな。と思った。
『今日は休み』送信
『じゃあヒマでしょ?
18時半に新宿に来て。
駅に着いたらラインして』
はい?
まぁ別に予定はないけども。
何かピアノのバイトとか、ピアノ関係で用事だと思った。
だからカジュアルじゃなく、タイトなロンスカにショートブーツ。
シンプルなニットを合わせて、いつもより華やかなメイクを施してみた。
そして乗り込んだ新宿駅。
「青井さん!」
いつも通り、髪巻き巻き上品なロングコート、ハイブランドなショルダー。
根岸さんが笑顔で登場した。
「なんかいつもと違うね」
「何があるの?
上品な方がいいかと思って」
「うん、いいよいいよ」
仲良しな友達になった覚えはないけど、根岸さんは私の腕を組んだ。
「向こう年上だしいい感じ」
「……」
何が?
「こんばんわーー」
「美月ちゃん久々~」
「お友達こっちにどうぞ」
これは…
「ちょっとこれ…!」
ガシッッ
腕が一層ホールドされる。
「こちらスズちゃん」
「可愛いね~」
「美月ちゃん友達の趣味かわった?」
「そうですか?」キャハ
案内された個室にはスタイリッシュなイケメンが2人。
黒のハイネックは根岸さんと知り合い?っぽい。
そしてその横には、シャツにニットに眼鏡。
微笑んだ顔は優しそうな癒やし系。
「何飲む?」
「スズ何でも飲めるよね?」
急にスズ呼びーーー
「じゃあとりあえずビールでいい?」
「うん」
これは、振り切って帰っていいのでしょうか。
「スズなに食べたい?」
メニューを開いて間におき、ニコニコしてのぞき込む。
「食べれないものあったっけ?」
テーブルの下で私の手を握りしめて。
「スズどした?」
とりあえず乗っておこう。
大学で初めて出来たお友達候補。
「この生ハムの美味しそうじゃない?美月」
乗っただけなのに、根岸さんはときめいたみたいに嬉しさをこぼした。
私がそれをわかるくらい、わかりやすく。
適当に料理を注文し、やっとこの人たちが誰なのか公開された。
「関東管弦楽の橘さん」
「バイオリンやってます」
へーー
「で、俺の友達の本木」
「本木です」
「日光で旅館やってるんだよね」
「そ、日光以外にも色々。
都内にもホテルとか物件持ってんの」
「私修学旅行日光行きました!」
「え、じゃあ東京の子じゃないの?」
「九州です」
「大学で上京したんだよね、スズ」
「うん」
「訛ってる感じ可愛いね」
根岸さんはきっと管弦楽の橘さんが好きなんだろうな。
そんな感じがした。
だからちょっと付き合うくらいいい。
「スズちゃん空っぽ、何飲む?」
「んー…」
「あ、もう次行こうか」
ビールとレモン酎ハイ2杯。
けっこうもういらなかった。
お店を出ると、支払ってる二人が来る前に根岸さんがこそっと言った。
「ごめんね、ありがとう」
「別にいいよ~
あ、でも私先に帰るね」
「橘さんどう思う?」
「いいと思う。
優しそうで真面目そうな感じする」
「でしょ!」
「見た目もお似合い」
「巻き込んじゃってごめんね
説明したら来ないかもって」
「うん、行かないかも」
「でも思ったの」
何を?
「スズもさ、他に目を向けてみるのもいいかなって」
あ、考えてくれたんだ。
「頑張ろ」
「うん!」
と言った手前
「じゃあ俺たちもどっか行く?」
帰るわけにもいかない。
「じゃあな!
本木!すずちゃん送ってけよ!」
「あたんまえだろ」
根岸さんが嬉しそうに彼と手を繋いでいたから良しとしよう。
なんか嬉しかったし。
友達になれるのかな。
「あ…あの私明日も早いので」
「あ、そうなの?」
「すみません」
電車で帰りたい。
二人になっても困るし。
「じゃあ早く寝ようか」
「はい」
ん?
「すずちゃんってさ」
顔が近づく。
「おっぱいいい感じの大きさだね」
ん?
言葉を整理できないうちに手を繋がれた。
「ちょっと…!」
「彼氏いないって言ってたじゃん」
「や…!」
「俺と結婚しない?
性格も良さそうだし、体も好きな感じ
俺的にそこ大事なんだ」
「え、そんなのわかんないですよ!」
「だから試してみよう
絶対相性いいよ俺たち」
「何を!」
「うちのホテルあるから、すぐそこ。
早く寝たいんでしょ?」
え、これどうすればいいの?
「橘と美月ちゃん上手くいきそうだしさ〜
橘ね、美月ちゃんのこと好きなの」
「え!そうなの?!」
わ、よかった~!
「可愛いね、そういう感じ」
え?
「表情わかりやすくて可愛い」
近い近い
「まずはお互いを知る必要があるね
見た目とフィーリングはクリアだから
次のステップに行こう」
え?
「手を繋いで散歩するのと
ホテルで隅々まで教え合うのどっちがいい?」
「や…」
「大丈夫大丈夫
天国に連れてってあげるから」
無理ーーーーー!
この人もifもしもでいっとく?!
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