第七回こむら川小説大賞ピックアップ・6と全体感想
こちらは2024年夏に行われた「第七回こむら川小説大賞」の参加作品全238作品を読んだうちのピックアップとなっています。作品数が多いのでピックアップもたくさんありますので、いくつかに分けて案内します。こちらで最終回になります。
【第七回こむら川小説大賞】
https://kakuyomu.jp/user_events/16818093082011920376
【翳す人/電楽サロンさん】
https://kakuyomu.jp/works/16818093083070140085
その行動をしてはいけない。
お札の透かしから始まるホラー。まず透かしに巣くう怪異という時点ですごく面白いし、結末でこの怪異に捕まったら逃げる術がないのでは、と読者に思わせているようでとても恐ろしい。だって絶対みんなやってしまうよ。それが怪異に魅入られる発動条件だなんて、怖すぎる。怪異そのものではなく、何気ない行動そのものが怖すぎて印象に残りました。もう透かしを無邪気に見れないです。
【トアル王国第一回光使い最強決定戦/@dekai3さん】
https://kakuyomu.jp/works/16818093082949463109
いろんな光があるんだな いろんなキャラがいるんだな
いろんな光使いが登場するコメディです。この「様々な光使い」が本当にバラエティ豊かで、そこを読んでいるだけでも楽しいです。登場人物は増えるほど話が畳みにくくなるものですが、この作品ではもっといろんな光使いを見たいと思うような勢いがありました。もちろんお話にもアツい展開があって、終盤はとっても綺麗にまとめてあったのもよかったです。
【魔王軍追放~光属性以外のあらゆる属性攻撃を防げる最強の盾なのに、私を追放しちゃって大丈夫?~/椎名ロビンさん】
https://kakuyomu.jp/works/16818093082258799530
光を浴びるとダメなんですよ、もう。
光魔法に異様に弱い吸血鬼が、それを理由に魔王軍から追放されそうになるコメディ。途中までの「あるある」に笑いながらどこに着地するのかとワクワクして読み進めると、意外なところに到着したのがとても面白かったです。コメディはやっぱりオチが命なので、本当にこの作品はいろんな人に最後まで読んでもらいたいです。
【日陰者/鈴界リコさん】
https://kakuyomu.jp/works/16818093083115402374
外に手を伸ばさなければ、それで幸せだと思った。
とてもパワーのある作品です。メキシコの国境近くに住むラパラ夫人ことマリア・フアナとそこへ遊びに来る子供たちのお話。今までの人生から日光を嫌うラパラ夫人と太陽のように明るい子供たちの対比が見事です。昼間は子供のはつらつとした描写にほっこりして、夜になって再度大人の世界の話になって心まで闇が射してくるような展開にドキドキします。気だるげな雰囲気の中に強烈な印象を与える、素敵なお話です!
【飛んで火に入る、/目々さん】
https://kakuyomu.jp/works/16818093082604500072
背中に氷を入れられたような読後感
序盤は世間話のような雑談から始まり、それがどんどん不穏な方向へ行きます。雑談なのでこの語り手の地元はどこだろうとか、家族構成って大事かなとか読者は物語に引き込まれるというより「一体こいつは何が言いたいのだ」って焦れてくるんです。そこにいきなり核心部分がドカンと投入されるので、背中に氷を入れられたような気分になります。ここまで語られて、それでも先輩は語り手の家に行くのだろうか。少なくとも私は絶対行きたくないですね。
【線香花火の延命/熒惑星】
https://kakuyomu.jp/works/16818093083113750836
普通の花火だと勢いが強すぎた
少し年の離れた幼馴染のお兄さんと花火をするお話。線香花火と淡い恋心をまっすぐに重ねているところがとても良いです。何より、主人公は「彼が好きです」ということを直接表現しないところがエモいです。本文を読むと、憧れから始まった恋心をビンビンに読み取れるのですが、決して「私は彼が好き」と断じない。彼のこういう行動が好きとか、彼のこういうところが好きとか、周囲からじわじわと広がるように読者の心を掴んでいく。そして最後の描写がとても美しい。「瓶詰め」の意味が更に重くなって、じーんと来ます。いいですね!!
以上、第七回こむら川小説大賞ピックアップでした!
うわああ全部読んで一応感想書いてピックアップもしたぞ!
途中で真面目にガンジス川に流されそうになったけど、無事に泳ぎ着いた!
本当に評議員の方、参加された皆さんお疲れ様でした!!!!
ついでに、238作品全部読んでお題「光」についての感想です。
本当に様々な「光」があって楽しかったです。天体や照明など物理的な光はもちろん、何故か物理的に人体が光るものや「あなたは私の光」という憧れや執着を表すもの、視力に関するもの、光速や相対性理論など光の特性を使ったもの、「とりあえずちんぽを光らせよう」というものなどいろんな光がありました。これは全体的な印象の話ですが、「あなたは私の光」みたいな概念光よりも物理光のほうが印象に残りやすかったと思いました。
そして「光」について考えていくと同時に「闇」も浮かび上がってきて、様々な「闇」も見れたのが面白かったです。人間関係の闇とか光が当たらない部分とか、そういうのも丁寧に描写できている作品も心に残りやすかったです。
でも、いろんな「書きたいものを書いた」という作品をずーっと読んでいくのは面白かったです。講評や感想、こぼれ話等これからゆっくり楽しみたいです。
ついでにできれば秋犬さんの参加作品も読んでください。ビッカビカに明るい奴と、光があるから闇もあるみたいな奴です。へへへ、ここまで読んでしまった人、よろしくなんだぜ。
【ガラクタの灯台】
https://kakuyomu.jp/works/16818093082146816036
【夜に探す】
https://kakuyomu.jp/works/16818093082472874160
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