第8話 ライバル(?)登場!
「そういえばアポロさんは、インターネットって知っていますか?」
ニコがメニュー画面の「インターネット」の項目を開きながら、アポロに聞く。
「言葉は知ってるけど、このゲームのインターネットは知らないなぁ」
「このゲームのインターネットもきっと楽しいですよ! 私凄くハマってるんです! 私の世界にはこういうの無かったので!」
ニコが住んでいるファンタジー世界では当然の
このゲーム内のインターネットは、おそらく地球のものを参考に作ったシステムだろう。
しかし、アポロの世界とは違ってインターネットでできることはかなり少ないようで、今の所は「SNS」と「掲示板」の項目しかない。
掲示板は匿名で書き込むことができ、SNSはユーザー情報を登録して使用するらしい。
勿論、このゲーム内専用なので、ログアウト後はメルティから貰ったスマホでもアクセスはできないだろう。
「私の世界にも、似たようなのがあるよ!」
地球のネットは、オタク趣味などを持つ者の集まりだ。
アポロの場合は周囲にオタク趣味を持っている人がいないのも合わさり、ネットは
「私の友達と同じ世界からアクセスしてるんでしたっけ? 私の友達も最近、バズったって自慢してましたね!」
「バズった?」
聞いたことのない用語だ。
「方言かな?」
「ネットで注目されることらしいですよ! この世界のネットでもたまに使っている人がいますね!」
「私の知らない用語が、この世界で使われているだと!?」
ネットに関しては結構知っている方だと自負していたのだが、どうやらそのニコの友達は、その上を行くようだ。
バズるという用語も、ニコの友達のことも覚えておこう。
「やるね! その友達!」
「いつかアポロさんにも、紹介しますね!」
一旦話を終えるとメニュー画面からインターネットを開き、掲示板を覗いてみた。
すると、デススパイダー討伐に関するスレッドが多く建てられていた。
ちなみにネット用語でのスレッドとは、建てられた掲示板のことを指す。
そのスレッドに書き込むことを、レスをするとも言う。
「私の話題で持ちきりだね!」
「それはそうですよ! サービス開始時から、ずっと倒されていなかったんですから」
「このゲームっていつ頃サービス開始したの?」
「このゲーム内の時間で、約180日前くらいですかね」
約半年ということか。
その期間誰も倒せなかったモンスターとなれば、盛り上がるのも分かる。
「そういえば! デススパイダーを倒してゲットしたアイテムがあるんだよね!」
すっかり忘れていた。
「魔法の書っていうアイテムなんだけど、これって魔法が覚えられるアイテムってことでいいんだよね?」
「そうですね! それにしても、あのデススパイダーがドロップした魔法の書ですか! 何が覚えられるかワクワクですね!」
アポロはメニュー画面から手に入れた魔法の書を開くと、それをタップして詳細を確認する。
~~~~~
魔法名:ポイズンウィンド
説明
相手を一定確率で※毒状態にする風の攻撃を放つ。
※毒状態:相手のHPを徐々に削っていく状態異常
~~~~~
どうやらこのゲームには、毒状態というものがあるらしい。
数多くのゲームで採用されている状態異常なので、それを参考にしたのだろうか。
ちなみにファイアボールのエクストラ効果での継続ダメージは状態異常ではないので、火傷状態のような状態異常はないのかもしれない。
「これって、レア?」
「残念ながら、そこまでレアという訳ではないですね」
「あらら」
倒されていなかったモンスターとはいえ、序盤のボスモンスターなので仕方がないのかもしれない。
だが、どちらにしても折角手に入れた魔法なので、早く試してみたい。
アポロは魔法の書を使用すると、ニコに言う。
「ねぇ! 決闘しない?」
「私とですか!? 自慢じゃないですけど、私のレベルは45ですよ!?」
アポロのレベルはボーナス経験値により、大幅に上がったとはいえ、まだレベル10だ。
35もレベル差があれば、対等な戦いというのは厳しいのかもしれない。
オンラインゲームをやったことのないアポロであったが、RPGでのレベルの大切さを知っているので、なんとなくだがニコの反応も納得である。
「そんなにレベル差があっては、一方的な戦いになってしまう可能性があります! 気をつかいながら戦うのもお互いやりづらいですし、今日の所はパーティーを組んで冒険しませんか?」
「そうだね! 決闘はレベルが上がってからの楽しみってことで!」
と、ここで……
「待ちなさい!」
金髪ツインテールで、黒いマントを羽織った少女が、街を出ようとした2人の前に立ちふさがる。
「誰!?」
「え? アポロさんの知り合いじゃないんですか?」
「いや、ほんと誰!?」
まるで因縁のライバルかのように、彼女はアポロに向かってビシッと右手人差し指を向ける。
「知ってるわよ! あんたの正体!」
「正体……?」
「あんたがデススパイダーを倒したのよね! 証拠はあるのよ! ブラックフォレストからあんたが出て来たのを見たんだからね!」
「えーと、確かに倒したけど……」
特に悪いことはしていないハズだ。
「あら? 認めるのね! だったら今すぐ私と戦いなさい!」
「突然だね!? でも、別にいいけど!」
「私に勝てるとでも思っているのかしら?」
「勝負はやってみないと分からないよ!」
「あら? そんなに大口を叩いて、私に勝つ自信があるのかしら?」
意地悪そうな表情でニヤリとしながら、彼女はアポロを見る。
「私のレベルを確認してみたらどう?」
「レベル?」
アポロは彼女を注視し、レベルと名前を表示させる。
名前はネルというらしく、レベルは……
「50!?」
「そうよ! それでも私に勝つつもり? ちなみにここで決闘を断ったら、フィールドに出た瞬間PKするわよ!」
「ええ!?」
決闘であれば、負けてもペナルティはない。
だが、PKとなれば話は別だ。
「なんで私と勝負をしたいの?」
「デススパイダーを倒したあんたを倒せば、私はデススパイダーよりも強いことになるからよ!」
「なるほど?」
そのような理由であったか。
「別に決闘だったら受けるよ! 特にペナルティもないしね!」
「交渉成立ね! ボッコボコにしてやるわ!」
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