第7話 運営に苦情が入ったようです
ブラックフォレストを抜け出したアポロは飛翔をし、モンスターとの戦闘回避しながら、そのまま森のダンジョンであるグリーンフォレストを脱出した。
その勢いで、街まで飛んで行く。
「お待たせ!」
噴水エリアに座っているのは銀髪の少女、ニコである。
デススパイダーとの戦闘が終わったら、結果に関わらずここで合流しようと決めておいたのだ。
「おかえりなさいです! それで、結果は……」
少し言いにくそうに、ニコは口を開いた。
そんな彼女に向けて、アポロは言う。
「勝ったよ!」
「勝った!?」
ニコは驚いたようで、思わず大きな声を出した。
「あの例の作戦で本当に行けたんですね! 信じていなかったという訳ではないのですが、正直あの作戦を聞いた時は少し不安でした」
「相手の防御面が弱かったからね! なんとか倒せたよ! って言っても、後1回倒されてたら、そのまま倒されてたんだけどね」
不死鳥は3回まで死亡が無効になるスキルだが、今回は3回も死んでしまった。
本当にギリギリの戦いであった。
そんなことをニコに話していると……
ピピッ!
スマホの通知音を連想させるような音が、脳内に鳴り響いた。
「なんの音だろう?」
「通知ですね! 私の所にも来ましたよ! なんでも運営さんからのお知らせみたいです!」
そういえば通知を確認するのは始めてだ。
アポロはニコの真似をしながら、メニュー画面を開き、操作する。
ちなみにメニュー画面の内容は、他の人には覗き見されても見えないようになっているらしいので、プライバシーの面も安心である。
なので、アポロ視点だとニコのメニュー画面は、空白箇所が多い。
「『デススパイダーが討伐されました』だって!」
初討伐されたということで、全ユーザーに向けてそういった通知がされたようだ。
周囲のプレイヤーには、通知を見て驚きの声をあげている者もいる。
もっとも、誰が倒したのかは公表されていないので、まさか近くにそれを倒したプレイヤーがいるとは思ってもいないだろう。
「後もう1つお知らせがあるみたいですね! こちらは本当に一部のプレイヤーに向けてですが……アポロさんには関係がありそうですね!」
「え!?」
ニコがそう言ったので、もう1つのお知らせを読むことにする。
~~~~~
『一部プレイヤーから、「犬になったんだが、いくらゲーム内とはいえ犬食いはしたくない! 後、ペット不可の店に入れなかった! 完全に犬扱いだ!」とのご意見がありました。これを踏まえ、以下の処置を施しました』
☆処置の内容
人型プレイヤー以外に、スキル【人化】を付与します。
このスキル発動時は全ステータスがレベル1相当になります。
スキルや魔法も、初期スキル以外は使用することができません。
~~~~~
つまりは人型のプレイヤーと同じく、普通に人間として生活をする為だけのスキルということだろう。
確かに元が人間である以上、食事の際などは行儀が悪いと感じてしまうこともあるだろう。
アポロにもスキル【人化】が無料でプレゼントされたので、それを発動してみせる。
すると、アポロの体を青白い光が包み込み、その結果……
「おお! おお……?」
近くに鏡があったので、自分の姿を確認してみた。
アバターはリアルの姿を極限に美化した姿になるらしいが、それでも元の顔の系統とはどこか違っていた。
それに、身長も小学生の時くらいの身長しかない。
おそらく、人化の場合はあくまでもモンスターの擬人化であり、元の姿はあまり関係がないのだろう。
外見は具体的にはショートヘアの青い髪に青い瞳、服装は白のヒラヒラスカーフが付いた、貴族っぽい高そうな白い服だ。
翼をイメージした青いマントも特徴的である。
「うわっ凄い! 高そうな服ですね!」
青い髪色などかなり派手に感じるが、ファンタジー世界出身であるニコにとっては、高そうな服に目が行ったようだ。
「擬人化って奴なのかな? 普段の私はこんなんじゃないんだけどね」
「そうなんですか?」
「リアルは黒髪だしね」
ともかく、街で生活をする時はこちらの姿の方が良いだろう。
街の外に出れば、PK《プレイヤーキル》される危険性もある他、まともな戦闘もできなさそうなので、外に出たら忘れずに解除することにしよう。
「メニュー画面が滅茶苦茶操作しやすい!」
今までは翼の端で操作していたので、操作しやすくてかなり感動している。
★
【あとがき】
戦闘時に人型がメインになったりなどは、今の所はないです。
ただ、建物内のレイアウトとか考えると、結構窮屈そうに感じたのと食べ物も食べにくそうだったので……。
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