第5話 レベル

 そういえば、今回は漫画肉だったから良いものの、これから先何か食べる場合は行儀が悪くなってしまう。

 全て食べ終わった後、アポロはそんなことをふと思った。


「お会計は、ワイルドステーキ1点で、1500Gとなります」


 相席ではあったが、会計は別だ。

 スライムなどの弱いモンスターを倒しまくったおかげで、Gはそれなりに稼げていた。


 とは言っても、この会計を済ませれば、ほとんど残らないのだが。



 冒険者ギルドを出ると、2人で噴水広場近くに設置してある椅子に座った。


「そういえば、勝手に同い年くらいだと思っていましたけど、何歳くらいなんですか?」

「どうしてそんなことを?」

「もしかなり年上だとしたら、結構失礼だなと思いまして! ちなみに私は13歳です!」

「あ! 同じくらいだ! 私は14歳!」

「おお! 当たっていました! いや、このゲームのアバターって基本的にリアルの顔に似ますけど、アポロさんの場合はフェニックスなので、分かりませんでしたよ!」

「確かに!」


 年齢の話が終わった所で、年下だが、このゲームではおそらく先輩であるニコに色々聞くことにした。


「そういえば、このゲームって最初は何をすればいいの? とりあえず、冒険者にはなったんだけど」

「何をするのも自由ですよ! おススメはこの街から近い森のエリアでレベル上げですね!」

「レベル上げかぁ! そういえばニコちゃんのレベルは……45!?」


 ニコを注視すると、彼女の頭上には45レベルを表す数字が表示されていた。


「かなりレベル上げたね! このレベルの上限は確か……」


 ナビが言っていたことを思い出す。


『現在のレベル上限は50なのだ!』


 ということは、ニコはかなり上限に近いレベルということだ。


「凄いよ!」

「頑張りました!」

「私も頑張ろう! でも、そこまでレベルを上げるのも大変そうだよね」


 かなりの時間やり込んでいそうなニコでさえ、45なのだ。

 家庭用ゲーム機と比べ、レベルが上がりにくいのかもしれない。


「経験値が多いモンスターとかいないの?」

「経験値ですか! ここから遠くの街であれば、メタルドラゴンがいますけど、あのモンスターは強いですからね……おまけにここから遠いですし」


 メタルドラゴンとは、某ゲームのメタルスライムのような存在だろう。


「この近くで経験値が多く貰えるモンスターは、ボスモンスターくらいですね! ただ、ボスモンスターは1日経つと復活しますが、ほとんど他の人が倒しちゃうんですよね」


 日付が変わる瞬間を狙って、ボス部屋で待機しているプレイヤーもいそうだ。


「なんかあんまり皆が倒したがらない、不人気ボスモンスターとかいないの!?」

「この辺りのボスモンスターは、正直レベルを上げれば誰でも倒せそうな感じですからね。不人気ボスモンスターは……」


 少し困惑したような表情で考えるニコであったが、数秒後……


「います! あのモンスターなら! いやでも、あのモンスターは倒せないように設定されている感じですし……」


 倒せないモンスター?

 ゲームなのに、そのようなモンスターが存在しているのか。


「どんなモンスター?」

「ボス戦が始まったら、部屋全体に、即死攻撃を放ってくるんですよ」

「え?」


 そんなモンスター、反則である。


「回復とかってできないの?」

「一瞬ですので、難しそうです。ただ、ボスモンスターは問題なく倒せることを考えると、あの攻撃をどうにかできれば勝機はあるとは思うんですよね。それに、まだ倒していないボスですので、仮に倒せれば初討伐ボーナスで経験値も相当貰えるハズです!」

「それはいいね!」


 だが、どうやって倒せばいいのだろうか?

 5秒くらい考えた後、名案を思い付いた。


「いい作戦を思い付いた!」

「本当ですか!?」

「うん!」

「初心者なのに、凄いです!」

「ふっふっふ! ちょっとばかし、頭を使っただけだよ!」


 学校の成績が悪いアポロは、得意げにそう言い放った。

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