第5話 レベル
そういえば、今回は漫画肉だったから良いものの、これから先何か食べる場合は行儀が悪くなってしまう。
全て食べ終わった後、アポロはそんなことをふと思った。
「お会計は、ワイルドステーキ1点で、1500Gとなります」
相席ではあったが、会計は別だ。
スライムなどの弱いモンスターを倒しまくったおかげで、Gはそれなりに稼げていた。
とは言っても、この会計を済ませれば、ほとんど残らないのだが。
◇
冒険者ギルドを出ると、2人で噴水広場近くに設置してある椅子に座った。
「そういえば、勝手に同い年くらいだと思っていましたけど、何歳くらいなんですか?」
「どうしてそんなことを?」
「もしかなり年上だとしたら、結構失礼だなと思いまして! ちなみに私は13歳です!」
「あ! 同じくらいだ! 私は14歳!」
「おお! 当たっていました! いや、このゲームのアバターって基本的にリアルの顔に似ますけど、アポロさんの場合はフェニックスなので、分かりませんでしたよ!」
「確かに!」
年齢の話が終わった所で、年下だが、このゲームではおそらく先輩であるニコに色々聞くことにした。
「そういえば、このゲームって最初は何をすればいいの? とりあえず、冒険者にはなったんだけど」
「何をするのも自由ですよ! おススメはこの街から近い森のエリアでレベル上げですね!」
「レベル上げかぁ! そういえばニコちゃんのレベルは……45!?」
ニコを注視すると、彼女の頭上には45レベルを表す数字が表示されていた。
「かなりレベル上げたね! このレベルの上限は確か……」
ナビが言っていたことを思い出す。
『現在のレベル上限は50なのだ!』
ということは、ニコはかなり上限に近いレベルということだ。
「凄いよ!」
「頑張りました!」
「私も頑張ろう! でも、そこまでレベルを上げるのも大変そうだよね」
かなりの時間やり込んでいそうなニコでさえ、45なのだ。
家庭用ゲーム機と比べ、レベルが上がりにくいのかもしれない。
「経験値が多いモンスターとかいないの?」
「経験値ですか! ここから遠くの街であれば、メタルドラゴンがいますけど、あのモンスターは強いですからね……おまけにここから遠いですし」
メタルドラゴンとは、某ゲームのメタルスライムのような存在だろう。
「この近くで経験値が多く貰えるモンスターは、ボスモンスターくらいですね! ただ、ボスモンスターは1日経つと復活しますが、ほとんど他の人が倒しちゃうんですよね」
日付が変わる瞬間を狙って、ボス部屋で待機しているプレイヤーもいそうだ。
「なんかあんまり皆が倒したがらない、不人気ボスモンスターとかいないの!?」
「この辺りのボスモンスターは、正直レベルを上げれば誰でも倒せそうな感じですからね。不人気ボスモンスターは……」
少し困惑したような表情で考えるニコであったが、数秒後……
「います! あのモンスターなら! いやでも、あのモンスターは倒せないように設定されている感じですし……」
倒せないモンスター?
ゲームなのに、そのようなモンスターが存在しているのか。
「どんなモンスター?」
「ボス戦が始まったら、部屋全体に、即死攻撃を放ってくるんですよ」
「え?」
そんなモンスター、反則である。
「回復とかってできないの?」
「一瞬ですので、難しそうです。ただ、ボスモンスターは問題なく倒せることを考えると、あの攻撃をどうにかできれば勝機はあるとは思うんですよね。それに、まだ倒していないボスですので、仮に倒せれば初討伐ボーナスで経験値も相当貰えるハズです!」
「それはいいね!」
だが、どうやって倒せばいいのだろうか?
5秒くらい考えた後、名案を思い付いた。
「いい作戦を思い付いた!」
「本当ですか!?」
「うん!」
「初心者なのに、凄いです!」
「ふっふっふ! ちょっとばかし、頭を使っただけだよ!」
学校の成績が悪いアポロは、得意げにそう言い放った。
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