占い師(2)
次の日の朝、ホテルを出発した。Gさんの知り合いのエステサロンに向かう。有名な化粧品のブランド会社が展開しているエステサロンだ。わたしはGさんにとってカモなのだろうな。
モヤモヤしながら、電車に揺られ、駅に降りてエステサロンまでの道を歩いた。Gさんはエステサロンで待っているらしい。本当は日帰りで良かったなと思ったが、エステサロンをドタキャンするのは悪いのでしぶしぶエステを受けることにした。わたしは美容に興味がないのだが、Gさんに配信で言いくるめられて予約を入れられてしまったのだ。
エステサロンの入っているビルに到着した。エレベーターで上がりエステサロンの扉を開いた。
真っ白の制服に身を包んだお姉さんスタッフさん達に迎えいれられた。スタイル良すぎー!あまりのスタッフさん達の美貌にわたしは口を半開きにして目をぱちくりさせた。
「Gさんは用事で少し遅れてしまうみたいです。先に施術しましょうか」
Gさんの知り合いのスタッフさんが華やかに笑いかけられた。あれよあれよとアンケートや問診票を書かされ施術台へと案内される。服を脱いでガウンに着替えながら、なんだか疲れが押し寄せてきた。
というか、Gさんまた遅刻かー…。時間にルーズなんだな。
施術が終わると、Gさんが到着していた。Gさんは白いシャツに真っ赤なスキニーとゴールドのゆらゆらしたピアスにオレンジの髪はハーフアップといった装いだった。
サロンの待ちあいのソファに座り化粧品のパンフレットを備え付けのテーブルに広げていた。
それから化粧品を定期購入の説明を受けた。なにかしらの化粧品を購入しないと開放されそうになかったので、3500円の美容クリームをひとつ購入した。
「ありがとう〜」と笑うGさんの背中に黒い翼が、おしりからはトンガった黒い尻尾が生えているように見える…。
自宅に無事帰宅した。
それから、わたしはGさんから距離を置いて現在ではまったく関わりはない。配信アプリも退会した。フォローしていたSNSのアカウントも全て消した。
今思えば、怪しげなGさんにあれほどハマっていたことが不思議だ。わたしはお金を遣うことがなにより苦痛のハズなのに、湯水のようにGさんに使用し貢いでしまった。操り人形のように自我がない精神状態だ。それに占いの料金は正直かなり高いと思う。Gさんのアドバイスに従い行動して「上手くいってよかった!さすがGさんだ」喜んでいたあの状況は狂っている。わたしの人生はわたしが決めるべきだ。人に委ねるものでは決してない。
よくわからないものには迂闊に近づいてはいけないことを学んだ。
フシギ 鈴鳴さくら @sakura3dayo
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