閏月と七夕の運命

前述を参考に暦の上で星座の配置を見直してみよう。すると、十二星座の配置がものの見事に四季と逆転している。

旧暦の正月(2月の節分)の頃、南の空に映るのは麦刈り時期の初夏の星座である。此は北半球の反対側に、其の月と季節を現す冬の星座が並んでいる為だ。

つまり、古代ギリシャやエジプトは其を数千年前から知っていた。十二星座は古代から年間を通して見える星座が把握されており、北緯の高いヨーロッパと中間点の西アジア(ヘブライ)、そして赤道に近いエジプトやアラビア半島でも見方や星座の種類が大きく変動する。

して、赤道直下や南半球の国々なら星座と星の配置其の物が全く別物となってしまう。

私の推論はこうだ。

互いの文明の中で最も重要とされる暦や星配置を偉大な智慧として国家の権威と定め、其を用いる神官や占星術師を通して異国間の情報交換が広く行われていた。

古代文明における数学、物理学、そして天文学は何にも勝る優れた財産である。極めて貴重な天文学に星座という神々の座標を配し国民に信憑性を与え、天候の変化を読み解き農作業へ従事させることに成功した。命を繋ぐ食糧保存。

更に、星座と神話をリンクさせることで宗教行事に意味を持たせ、選民思想を植え付けながら民族の統一を図った。


加えて其処へ、東アジアの皇帝が智慧の照合を持ち掛ける。天文学における西洋神話と東洋陰陽道の融合である。

西洋文明が一神教になる以前、東洋の自然崇拝と星座神話が合致され、十二支として新たな命を授かり民間風習へ溶け込んだ。


其だけではなかった。

七夕(中国太陰暦では8月7日)は新年(春節2月3日)から丁度、半年後の祭である。織姫と彦星が天の川を渡り出逢うとされる夜。

織姫(イザナミ)が彦星(イザナギ)と出逢い世界を産み落とす日。

ユダヤ暦における新年(秋分9月23日)から半年後、閏月の祭…復活祭イースター

此はローマカトリック教会の影響でキリスト教の行事と捉えられがちだが、3月下旬の祭事は古く北欧やケルト民族、西アジア、中東アジアのみならず東邦の仏教祭事(花祭り)として世界的に行われている。

3月下旬の祝賀や宗教祭典は各国にあるのだ。

因みにメキシコの死者の祭もユダヤ暦や北欧における万聖節(11月初旬)と時期が重なっている。

加えてハロウィン(10月31日)は過越祭すぎこしまつりとして根強く残り、万聖節を迎える前の悪霊退散の行事となった。

北欧では悪魔や魔女の仮装をして人間だとバレぬように振る舞い、夜通し火を焚き踊る。

ヘブライ(ユダヤ人)にとってエジプト脱出前夜の支度であり、家の鴨居に子羊の血を塗り悪霊に魂を奪われぬよう守るための行事である。

悪霊が飛び交い死者が復活する。

様々な意味合いを込めて世界がこの祭事を行う迄に浸透しているのが過越祭、加えて復活祭。


日本の神在月も其らを模したものと察して良いだろう。


世界中、何処にでも神はいる。

だからこそ其の起源は全て同じ。


【原初、其処に神がいた。】

【原始、神は世界を御造りになった。】


この意味は万国共通の思想に他ならぬ。

人類の始祖は紛れもなく神であった。

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