麦刈る初夏と稲刈る秋
西洋と東洋の暦における大きな違い。
其は紛れもなく主食となる穀物の収穫時期だ。
秋に植えられた大麦ライ麦、小麦は夏が来る前に実り刈り取る。パンを食べる彼らにとって麦の収穫時期は最重要とされる。
初夏はユダヤ暦にとって実りの季節。
収穫の最盛期である。
春過ぎての豊穣は収穫祭の時期に他の暦と半年の擦れを生じさせる。しかし決定的なのは、古代文明において収穫される主役は穀物であり、野菜や果実は品種も乏しく気紛れな作物だったという事実。
現代のように品種改良もされていない、限られた果実や野生の作物を充てには出来なかった。
西洋の古代暦により、現在でも欧米社会は9月に入学式及び入社式を行う。此は世界的に形式化され、何事にも9月始まりが多用される。
ところが、我々日本人を始め韓国、中国を含め東アジアの数ヶ国のみが4月始まりの暦を使用している。東アジアでは入学試験を2月メインに行うため、3月卒業の4月入学という形式が長い間続けられてきた。
此は言うまでもなく、中国太陰暦の正月が節分であること、加えて日本国家が飛鳥時代以降は中国と密に国交を深めたため中国漢字の書物や仏教文化、律令制の伝来による中国形式の政治が日本に長らく根付いてしまったためである。
勿論、言語も大きく影響している。
中国漢字による漢文の書物を手習い読み解き、僧侶達がこぞって仏教を学びに唐へ赴いた時代が今の日本を形成したに過ぎない。
其の為、まるで藤原氏が一代栄華を築いた平安時代を日本の起源のように思い込む日本人まで出てくる始末。仮名文字然り、天皇家と藤原氏の婚姻然り、原始日本の礎を衰退させた要因となっている。
其を問題視していないのが、他ならぬ今現在の日本史である。
さて、暦の話に戻るが…日本の穀物と言えば米抜きには語れまい。
無論、稲作も中国文明からの受け売りだが日本人は米に生かされてきた。狩猟時代の終わり。
しかし、西洋と東洋の暦が半年擦れということは年中行事も宗教行事も大きく意味が異なる。
一族、国家、民族を守るための暦。
皆が生存する為、命を掛けて一年間を取り決め習慣とする暦は古代国家における社会生活そのものを意味し、宗教も又、人々の暮らしを守る智慧であった。
この受け取り方を履き違えてしまうのは甚だ悪である。
東洋の暦は稲刈り中心の為、其の時期に大きな行事が関わらないよう調整してある。
つまり、渡来人が盛んであった弥生時代以降の日本は稲作文化の伝来と共に中国太陰暦の生活を余儀なくされた。
【ユダヤ暦と中国太陰暦】
ユダヤ暦 中国太陰暦
秋分の日(新年~正月) 春節(新年~正月)9月23日 2月3日
万聖節(清めの時期) 雛祭り(浄化の祭)
11月1日~3日 3月3日
※日本では11月の同時期に神在月の祭事が行われユダヤ暦より古代北欧の祝賀形成に近い。
半年の擦れを上げたらキリがないが、東邦文化の年中行事と比較をしてみると、同時期に類似する内容の祭事を行っていることが解る。
時期こそ擦れるが、民間宗教行事の内容は同一と捉えて先ず間違いない。
ユダヤ暦は非常に古い為、世界的に見ても東洋との国交が太古から深められていた事実が隠されている。紀元前3000年の遥か昔、東邦の小さな島国を西アジアや西洋の人間が知っていても可笑しくはない。
其の事実は何処へ埋もれたのか。
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