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「今日も素晴らしい一日だった」


 満足げに布団に入りながら、俺はそう呟いた。

「俺は充実している。本当に深い人間だ」

 そう思いながら目を閉じた瞬間、突然体が宙に浮いたような感覚に襲われた。目を開けると、自分が漆黒の闇である謎の空間の中にいることが分かった。

 すると、目の前に巨大な青白く光る存在が現れた。声は低くも高くもない、不思議な響きを持っている。

「浅井、君は『深い』人間だ。長きにわたり、世界の『真理』に近づこうと努力してきた。その結果、君にはこの宇宙の理を知る資格が与えられた」

 やはり、俺の生き方は間違っていなかったようだ。俺のような存在が、凡人と同じように終わるはずがない。俺は静かにうなずいた。

「ありがとう。俺の探求がついに報われるってことだな。ところで、お前は何者なんだ?」

 その存在は答えた。

「全知全能の神だ」

「全知全能なら、お前の力では持ち上げられないものを生み出すということもできるのか?」

「いや、それはできない」

 その存在は飄々と言った。

「なら全知全能というのは嘘じゃないか!」

「全知全能というのは名前でしかなく、私が全知全能だとは言っていないはずだ。そんなことよりもこれを受け取ってくれ」

 そう言って、その存在は光り輝く球体を差し出した。

「これが『真理の球体』だ。触れれば宇宙の全ての答えが君の中に流れ込むだろう」

 俺は手を伸ばし、その球体に触れた。そして次の瞬間、膨大な情報が頭の中に流れ込む・・・・・・かと思ったが、そこにあったのはたった一つの言葉だった。


「『深く』考えすぎるな」


 俺は目を見開いた。これが・・・・・・真理?

「いや、待て。それだけか?もっと何か壮大な、哲学的な答えがあるだろう?」

 存在は淡々と答えた。


「これが全てだ」

 そんな馬鹿な話があるか。俺は苦笑しながら言い返した。

「お前は俺をからかっているのか?いや、そうに違いない。俺はこれまでの人生全てを費やして、真理を追い求めてきたんだぞ!」

 俺の言葉に返事もせずに存在は消え、俺は気がつくと自分のベッドに戻っていた。天井を見つめながら、俺は思う。

「『深く考えすぎるな』・・・・・・それが本当に真理なのか?」

 だが、俺には到底納得できなかった。そんな安易な言葉が答えであるはずがない。俺は思索にふけり、さらに深く、考えをめぐらせた。

「やっぱり、『真理』が誰でもわかるような、簡単なものであるはずがない。表面的な言葉の裏に隠された真の意味があるはずだ。それを理解することが、次なる俺の試練だ」

 翌日も、俺はいつものように哲学書を読み、ジムで体を鍛え、カフェで思索にふけり、夜には深い映画を観る。その全てが「真理」の裏に隠された意味を探るためだ。

 そして気づけば、いつもの口癖が漏れていた。

「深く考えすぎるな・・・・・・。いや、もっと深く考え、深く生きなければならない」

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深すぎる浅井君 解体業 @381654729

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