第17話

「つか、お前さぁ。」



ペットボトルの水をグビグビ飲み始めた涼は、再びため息を吐いて、




「そんな格好で来るなよ。」



私を一度チラリと見た。




「何が?」




そんな格好って…




「ちゃんと普通に着て来いよ。」



「はい?私だってお風呂さっき入ったもん。そりゃあ部屋着で来るってば。たかが隣の家なんだし。てか自分だってスウェットじゃん。」



いちいち着替えるわけないでしょ。


なんだか結構、普通に叱られてる気持ちになり、不機嫌になる私に何故かまたため息を吐いて、



「そうじゃねぇよ、アホ。」



諦めたように、ベッドにボフッと座る。




「女のお前が男の俺の部屋に、しかも夜にそんな薄着で来るなって話。」



「は、はぁ?」



急に出てきた男と女、と言うワードに、




「もう涼ってば何言ってんの?涼が男で私が女だなんてそんなの生まれた時から知ってるって。」



私のことバカにしちゃって。


いくらなんでもそれくらい私にだってわかるっての。


真剣な顔して何を言うかと思えば。




あはは、と笑い飛ばす私にそれでも、




「はぁ、もう良いから帰れよ。」


煮え切らないような表情の涼。



「はいはい、相変わらず冷たいねー。」



よいしょ、と腰を上げた私の腕をグイッと掴むと、



「他の男に絶対するなよ、それ。」



目が合って、その涼の瞳がやけに本気くさくて息を飲みそうになった。




「しないよ?するわけないじゃん。家こんなに近いの涼しかいないし。」



「…そういう意味じゃなくて。」



「何?」



「いや、何でもない。もう良いよ。」




パッた離された腕。



視線も同時に逸らされた。




…変なの。




「じゃ、また明日ねー。」

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