第12話

以前と変わらない配置の部屋は、相変わらず余計なものがない。



けれど、中学の頃のバレー部の集合写真や卒業式に貰ったメッセージの書かれたバレーボールを大事に飾ってある所が、なんだか涼っぽくなくて面白い。




「え、待って。ウケる。」



そのボールの横に置かれたフェルト生地のお守り。



中学最後の大会で、私が涼に作ったやつ。




まだ持ってたんだ…



しかも飾ってるし。



思わずもれた笑み。




なんだかんだ良い奴ってことなんだよね、本当。



懐かしいな、なんて思いながらそれを眺めていると、




ポキポキ




緊張感のない、LINEの通知音。



私だ。




ポケットに入れたままのスマホを取り出して、その通知を確認していると、




「…うっわ。最悪。」



寝起き特有の低い声。



布団の擦れる音に合わせて、



「勝手に入んなよ。」



目を覚ました涼が気怠そうに、こちらを見ている。

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