第7話

「服装頭髪強化週間です。」



ニッコリと白い歯を見せて私に微笑みかける。



…イッケメーン。



確かまだ20代の五十嵐先生。


高校生の男子には無い色気がだだ漏れで、一部の生徒から人気がある。


見れば見るほど整った顔立ちだなぁ、なんて思うけれど…



「先生のその前髪は良いんですか!」


今にも目にかかりそうな、というかもはやかかっているその前髪。



「話をすり替えない。夏服でも原則ネクタイがうちのルールだから。」



くー…、そんなのわかってるけど!


こんな抜き打ち検査、みんな絶対ネクタイ忘れるでしょ。



と、思いながら周りを見回しても、私のように涼しげな胸元の生徒は全然いない。



むしろ、



「えー、莉乃がまさかの抜けがけ!?五十嵐先生ずるいー。」



「私のネクタイ莉乃に貸すから私も指導して欲しいー。」



なんて、同じクラスの女子達が甘えた声を上げながら五十嵐先生へと近づいた。



「良いから早く教室行きなさい。予鈴なるだろ。」



慣れたようにあしらうところも、この女子達のツボなのだ。



「橘は明日、ちゃんとネクタイをして職員室の俺の所にくること。」



「はーい。」



初犯だから、内申には響かないから。

なんて、まるで犯罪者かってつっこみたくなるような言葉まで頂いた後、すぐに予鈴がなってしまったため私は少し駆け足で教室へ急いだ。

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