第6話

「涼ってさー、今まで好きな子とかいたことあんの?」



女の子と一緒にいる姿を見たことが無いし、想像もできない…



「なんだよ、急に。…お前はあんのかよ。」



「私?私は…」


別にない、そう言おうとした時、



「橘。」



いつの間にやら校門がもうすぐそこにあったことに気付かされる。


そこには数名の生徒と先生。



「はい、ネクタイなしな。」



「…はい?」



何やら名簿を片手に、数学担当の五十嵐先生が私の行く手を阻んだ。



「どんまい。」



そんな私にフッと小さく笑った涼はそのまま生徒玄関に向かって行く。




…へ?


どういう…



意味がわからず、周りをキョロキョロと見渡した後、もう一度五十嵐先生を見上げる。

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