第27話
会計を終えた九条さんは、
「とりあえずこのテーブルだけ持って帰って、あとは明日の夜配達してもらうから。」
と。
確かに手にはテーブルが入ってあるであろうダンボール。
「どういうことですか?何で急にこんな…」
変わらずスタスタと歩く九条さんの後ろをついて歩く。
どういう風の吹き回しだろう、って…
考えてもわからない。
だけど、私の一言のせいで返って迷惑をかけてしまったようにも思えて、少し、いや、かなり不安が募っていく。
仮にも見ず知らずの他人の生活に支障をきたしているような、そんな…
しかし、
そんな私の雰囲気に気づいてなのか、たまたまなのかはわからないけれど…
「確かにリビングって大事だなって思ったんだよ。」
表情こそ見えなくても、その声は紛れもなく優しかった。
車に乗り込んで、
「あの、私もお支払いします。」
「だからそういうのは…」
「ダメです。ちゃんとしましょう。私のワガママだったのでなおさら。」
私の一言が発端だったのは間違いなくて。
余計なお金と手間をかけさせてしまったんだ。
「本当にいらないから。」
「嫌です!払います!」
どちらも引かない。
強情にも程がある。
「ほら、帰るからシートベルト。」
「嫌です!九条さんが頷くまでシートベルトしません!」
だからいい加減…
そう言おうとしたその瞬間、
「……!?」
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