第26話

その後もローテーブルやカーペットのコーナーでも先ほどと同じようなやり取りをして、




「テレビは俺が持ってきたやつでいいか。どうせ部屋でそんなに観ないだろうし。」



テレビ…?


まるで話についていけない。



混乱気味の私は、前を歩く九条さんのスーツの裾を思い切り掴んでこちらを向かせた。



「あの…!さっきから何なんですか?しかもテレビって…」



「リビング。」



私の行動に動じることなく、それも私の言葉を遮って、ハッキリとそう言った。



…リビング?



リビングって…



「え…?」


「茅野さん、リビングが何もないのが嫌なんだろ?」


言っただろ?

と、さも当たり前のようなそんな表情で。




「とりあえず支払いしてくるから待ってて。」



「え!ちょっ…」



私の言葉なんか聞かないままに、その長い脚を使って早々とレジに進んで行った。


確かに言ったけど…




「何で…?」



昨日の今日で?


だってリビングなんてどうでも良いって思ってたはずじゃ…

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