第24話
駅…とは言ったけど…
どこに行けば良いの?
中に入っていいのかな?
と言うか、そもそも何故駅なのか。
そんなことばかり考えながら、駅の前で立ち尽くしていると、
ブー、ブー、ブー、
とカバンに入れたスマホの振動が腕に伝わる。
勉強していたからマナーモードにしたままだったんだ。
画面に表示されたのは九条さんの名前。
恐る恐る、そっと耳にスマホをあてて、
「…はい。」
なぜだか小さくなってしまう声。
『茅野さん?もう駅?』
「はい。ちょうど入口のところに…」
『あー、おけ。見えた。今行く。』
そのまますぐに切れた電話。
…見えた?
辺りをキョロキョロ見回しても、こちらからは九条さんは見えませんが…
「茅野さん。」
見渡していた視界よりも、もっと近く、と言うよりすぐ目の前から声がしたかと思えば、
「……!!」
車の窓を開け、こちらに向かって手をひらひらさせているのは紛れもなく九条さんだ。
そっか、九条さん車なんだ…!
「乗って。」
九条さんの言葉に私は、一礼した後、後部座席のドアを開けようとしたのだけれど、
「え?後ろ?タクシーじゃないんだから助手席乗んなよ。」
苦笑い気味に助手席を指さす。
助手席はちょっと緊張するんですが…
と思いつつ、そっと、
「お邪魔します…」
助手席に乗り込んだ私に、
「シートベルトしてね。」
と促した後、ゆっくりと車を発進させた。
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