第23話

そんなこんなで部屋には夕日が差し込む時間帯。



勉強していると時間の進むスピードが速くて、あらかじめかけておいたアラームが夕方の5時を知らせた。



夕飯、作ろう。



父がいない今、一人分のご飯を作るとなるとどうにも手を抜いてしまう。


余った食材で軽く済ませ、冷蔵庫の中身を確認しながら、




「九条さんって毎日お惣菜買って帰ってるのかな…」




飽きない?


それなら私、作るのに…




なんて、そんなこと九条さんが受け入れるわけないか。



干渉は禁止。


慣れ合いをしたいわけじゃないだろうし…



冷蔵庫の九条さんのスペースにはビール缶が何本かとワインが1本。


たったそれだけ。


きっと彼女の家とかで食べてるんだろうな。



あれ程のイケメンなら彼女の一人や二人いるでしょうね。



なんて考えていたらもう6時を過ぎている。


そろそろ準備しなきゃ。


勉強用に結んだ前髪をおろし、まさかTシャツに履き潰したデニムでは行けないので少し悩んだあげく、ブラウスにロング丈のスカートという当たり障りのない服に着替えた私は時間を確認して家を出た。


駅まで10分。




ゆっくり歩いても余裕だ。

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