第22話
翌日、目を覚ましたのは朝の7時より少し前。
部屋のドアの向こうから物音がして、そのうちに鍵が施錠される音が聞こえた。
あぁ、九条さん出勤…
いつもこんな早いんだ…
お父さんも7時前には出てたっけ。
社会人の朝は早いなぁ…
私は学校まで近いこともあってか引っ越す前も今も8時に家を出ても余裕で間に合う。
まだ少し寝ぼけたままの脳に刺激を与えるため、カーテンを一気に開けた。
眩しさに目を細めながら、伸びをして私の1日が始まる。
やらなければいけないことはたくさんある。
夜7時に駅。
一体それが何かはわからないけど、まぁ良いや。
考えても仕方ない。
洗面所に置かれた洗濯機を回し、気になっていた箇所の掃除をし、何だか主婦みたい。なんて思いながら、明日から始まる新学期に向けて勉強を始めた。
勉強は割と嫌いではない。
将来の夢、と言われるとまだよくわからないけれど選択肢を増やすためにも、私は良い成績でどの大学にでも行けるようにと思って、高校でも特進クラスにいる。
本当のところは、良い大学を出て良い会社に勤めて立派な社会人になることが夢だと密かに思っていたりもして。
いつか父にたくさん親孝行するために。
でもそんな私の考えを知らない父はいつも、
「どこの大学でも行かせてやるから、何でも良い、好きなことをやってほしいな。楽しく幸せに暮らして欲しいんだ。」
と、口癖のように私に言っていた。
親孝行が夢なんだけどなぁ。
照れくさくて言ったことはないんだけど…
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