第17話

シンプルなアースカラーのカーテンを選んで、ついでに部屋で使うクッションも購入した。



そのまま夕方にファミレスで晩ご飯に代わる物を食べて、結局また話し込んで、なんだかんだ帰ったのは19時を回る頃だった。



香澄には散々、気をつけて。と念を押されたけど……



うん、きっとありえない。



家の電気はどこも付いておらず、九条さんもまだ帰宅していないようだった。



父もいつも20時を越えてから帰宅することが当たり前だったし、忙しいと終電での帰りもあった。



九条さんもそんな感じなのかな?



何をしている人なのかもまったくわからない。



住み慣れない家の中がシンと静まり返っているのは、やっぱり少しだけ寂しいな。



とりあえず、買ったばかりのカーテンを装着することにした。




部屋に置いてあるイスに乗って、カーテンを金具につける。



大きな窓だから夏に開放したらきっと涼しいだろうな…



そんなことを思いながら作業をしていると、玄関から物音がした。



九条さんが帰ったんだろう。



リビングのドアを開く音とともに、作業していた手を止めて振り返る。



やはりまだ多少の緊張はあるものの…



「お帰りなさい。」



無反応はあまりに寂しいし、挨拶くらいは…



とは思うわけで。



ぎこちなさは否めないけれど…




「あぁ、カーテンありがとな。いくら?」



私に顔も合わせないまま、キッチンに向かって歩く九条さん。



…何?



感じ悪…



やっぱり九条さん苦手だ…と再び実感してしまった。



買ってきたであろう晩ご飯を袋から出しながら、やっとこちらを見たかと思えば、



「あのさぁ…見えてる。」



真顔で、意味のわからないことを言う。

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