第14話

翌朝、目を覚ました時にはもう九条さんは家にはいなかった。


当たり前か、もう8時半。


出勤してる時間だよね。



私も準備してパパッとカーテン買ってこよう。


いまだに殺風景なリビングを通って洗面台へ顔を洗いに行く。




何が嫌とかそういうことではないのに、気分がうまく上げられない。


心のどこかで何かを期待していた自分に、溜息が出る。



落ち込んだところで何かが変わるわけじゃないのに…


シャキッとしなきゃ!



昨日までの気持ちを全て吹き飛ばすかのように、私は勢いよく顔を洗った。



こんなの気の持ちようだよ。


私は私で楽しく、今までどおり。


学校に行けば大好きな友達がいる。


遠く離れていても、お父さんが私を想ってくれている。



それだけで充分じゃない。


赤の他人に何かを求める方が図々しいよね。



ちょうど良いタイミングで友人の新町香澄しんまちかすみから、引越しは無事に終わったのかと連絡が来たので、香澄を誘ってカーテンを買いに行くことにした。

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