第12話
「リビングなんて無いようなもんだろ。別にテキトーでいいよ。」
どうでも良い、そんな雰囲気がヒシヒシと伝わった。
だって明らかに表情がめんどくさそう。
言ってることは間違っていないし、九条さんは何も悪くないのに。
何故だか、少しだけ傷ついている私がいた。
九条さんから見れば学生の私なんかどうせ暇でしょ、くらいの気持ちなのだろうし、使うわけでもないリビングにお金をかけるのも勿体ないってことなんだろう。
わかっているけど…
不可抗力のルームシェアだとしても、それなりに楽しくやろうと前向きに考えていた私の想像とは遥かにかけ離れていて。
共有スペースをどうするかとかそういうのだって全部、もう少し楽しく話し合うものだとばかり思っていたから。
すべてのことが、想像していたより何だかキツくて…
別に仲よしこよしを望んでいるわけじゃない。
自分がどうして、今こんな気持ちになっているかもよくわからないけれど…
それでも、急に一人になってしまったことで心の中の見えないどこかで、すごく…本当は寂しくて仕方ない。
優しくしてほしいなんて見当違いなのも分かっているけど…
だけど、せめて…
やっぱり私に他人と同居なんて無理だったのかもしれない。
割り切れば良いのもわかっているのに、そんなすぐにできることではなかった。
「てか、茅野さんさぁ…」
「わかりました。明日買ってきます。でもお金はいりません。」
そうとだけ伝えて、私はそのまま自分の部屋へと戻った。
もちろん九条さんが、は?と言っているのは聞こえているけれど、何でか今はこれ以上話したくなかったの。
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